Archive for April 2009

チポロットとホタルイカのスパゲッティ

パスタディナー(笑)である。チポロットが出荷スタートになったので、とうぜん「はねだし」がでる。が、今日のはねだしは1本だけ。まちがって14本も多く収穫してしまったorz...。で、ちょうど今朝ホタルイカをいただいたので、これとあわせてみることに。トマトくらいつかうか。スーパー・マルツァーノにしてみる。たぶん味がボケるから、カイエンヌを2本ほど、タネをぬいてから刻んで…。

さて、手順が問題である。チポロットもイカもあんまり火をとおしたくないのである。なにしろ、ホタルイカはいただいたときは身が完全に透明だったのである。くださったT氏は「ゆうべ獲りにいってきた」とおっしゃっていたが、そりゃ日付は「今日」なんじゃないですかと…。倉渕は山のなか。日本海はけっこう遠い。新鮮な魚介を手にいれるのはけっこう大変なのだ。まことに貴重な体験である。

それはともかく、イカは長く煮込むと味がクドすぎて好みじゃないのである。これは好き好きなんだろうけど…。チポロットも、常日頃「西洋野菜はクタクタになるまで加熱すべき」と主張しているまきもの屋ではあるが、こいつは例外。しっかり煮込むならフルサイズのチポッラのほうがいい。適材適所というやつかな。

で、どちらもオリーヴオイルで手早く炒めてやりたい。そのあとでトマトをくわえて煮こんだんじゃ具合がわるい。別鍋でトマトソースをつくっておいてあわせるか。問題は、一般家庭用の安ーいガスレンジだから火口はふたつしかないのである。こりゃ手際というかスピード勝負だな…。

結果はもちろんウマーである。もっぱらホタルイカの手柄だが、チポロットもかなり美味。こりゃヒットの予感? 栽培している本人が言うのもなんだが、かなりのものです。まきもの屋のチポロット、5月から安定した出荷ができると思います。ぜひお試しください。

マルチカラード・チャードのアンチョヴィ、バター炒め、仔羊肩肉のグリル添え

タイトルにどうしたって野菜をさいしょに書くわけだが、一種のシャレなのでご容赦いただきたい。なにも野菜料理のご提案をしたいわけではないのである。それはともかく、マルチカラード・チャードは本質的にブレット(ビエトラ)なんだから、基本に忠実な調理で、皿の上での見栄えと検討するというとても立派な商売上しごくマジメな目的でこの料理というわけである。いや、「はねだし」なんですけどね。

マルチカラード・チャードは葉柄(軸)と葉を分けて、時間差をつけて下茹でする。フルサイズのチャード=ブレット=ビエトラは、味を優先するなら、かなーりしっかり茹でておくのがポイント。トングでつまんで「柔らかいな、茹ですぎたか(汗」というくらいまで火を通してから冷水にはなす。そのまま放っておくとさらにアクが抜けていいのだが、色も薄くなるだろうから、このへんが葉柄の白いブレット(ビエトラ)とちがって加減がむずかしいだろう。

で、しっかりと水気を絞る。水切りではない。文字通り絞るのである。手で絞ると崩れてしまうから、それを嫌うのであれば、キッチンペーパーをつかってやさしく押して水気をぬくしかないが、手でしっかり絞った場合よりもいささか水っぽくなるのは当然である。それでも葉はしっかりと手で絞る必要がある。

ニンニク、アンチョヴィ、バターでゆっくりと炒める。バターをケチってはいけない。バターとアンチョヴィの味をマルチカラード・チャードが吸いこむようにていねいに炒める。ほとんどバター煮である。味付けは塩とコショウだけ。

マルチカラード・チャード=ブレット(ビエトラ)=ふだん草は、ビタミン、ミネラルがホウレンソウよりも豊富である。「健康野菜」(笑)といってもさしつかえないかも。ただ、素材が新鮮じゃなかったり、調理法が的確じゃなかったりすると、「おいしくない」といわれかねない。いや、これはどんな野菜でもそうなんだが、多くのひとにとってはそれほどなじみのある味じゃないだけに、とくにご注意ねがいたいところである。

さて、本日は濃い赤の葉柄がはいらなかった。見せるということを考えたら葉はつかうにしても葉柄といっしょくたではよくないだろう。そうはいっても、こんな家庭料理の仕立てでも、白い葉柄だけのばあいよりも多少は色彩的な動きがでてくるような印象である。プロの盛りつけであれば、きっとうつくしい皿に仕立ててくれるだろう。

本日の「つけあわせ」は仔羊肩肉のグリル。さいしょは煮込みにしようかと思ったんだが、家人の「どうしてグリルじゃないの?」のひとことで変更。仔羊肩肉は煮込みのほうがおいしいと思うんだけどなぁ…。恐妻家なのである。がんばるのは大嫌いなのだが、がんばって炭をおこして七輪で焼く。ソースはなし。いわゆる焼きっぱなしである。うーん、やっぱり解凍したばかりじゃイマイチ。数日は寝かせないと…。パッケージには「熟成ラム」って書いてあったんだけどなぁ(笑。

くらべてみてください。

ミニ・ポワロー、ポワロジューヌ、ポワロージューヌ、ポアロジュンヌ(何とでも呼んでくださって結構です)。リンク先の画像をご覧ください(別ウィンドウでひらきます)。コレコレコレ、それからコレ

さいしょのものはたぶん国内産だけど産地はわかりません。きっと、扱っている業者さんならわかるでしょう。2つめはフランス産です。Googleあたりで、「ミニ・ポワロー」で画像検索をしてもおもしろいでしょう。ちがいがおわかりいただけるでしょうか…?

まきもの屋のミニ・ポワローは、まきもの屋じしんの基本理念のひとつである"for the happy few...(1)"を具現化しているといっても過言ではありません。ちがいをわかってくださる方だけに味わっていただきたい口福です(笑。

  • 注1) スタンダールの"to the happy few..."のもじり。

「おまかせ西洋野菜セット」をレストラン様限定とさせていただいているわけ

いちばん大きい理由は、じつはものすごく単純なことなんです。そもそもレストラン需要を見込んで作付つまり栽培しているから、それぞれの品目、たとえばブレット(ビエトラ)なりミニ・ポワローなりをなるべく長期間ご提供できるようしています。これは、ひっくりかえしていうと、おなじ野菜が毎週つづいてセットに入っているということです。

どんなにイタリア料理、フランス料理が好きでも、毎週毎週、ルーコラ・セルヴァチカやブレット(ビエトラ)が届いたんじゃ、一般家庭じゃいくらなんでも飽きちゃうでしょう? かく言うまきもの屋じしんが、飽きちゃったりするんですよ。さいしょは目新しくていいかもしれないけれど、長く続くとうんざりしちゃうと思うんです。どんなに美味しいものでも、飽きちゃったら「不味い」ものになっちゃうし、そうなったらかなしいですよね。

それに、八百屋さんじゃなくて生産者だから、スポット的なオーダーなどはお応えできないんです。それを受けちゃうと、販売のほうが煩雑になって、まったく仕事にならないんです。なにしろ野菜をつくるのが仕事なんですから。で、「畑の都合」というのがあって、隔週とか月1回なんて変則パターンも対応できません。だから、シーズン単位、毎週のお取引をお願いしています。雑誌の「定期購読」みたいな感じです。

もうひとつ、まきもの屋の「おまかせ西洋野菜セット」は量が多いんです。もちろん取引先の意向に応じて量の増減はやらせていただいていますが、ケース単価には反映させていません。たとえばレストランに行って、「料理長おまかせコース」料理を注文しようとして、「じぶんは小食だから量を減らしてほしい。量が少ないんだから値段も安くしてほしい」なんて言いますか? いや、そういうモンスターなお客さんもいまどきはいるらしいけれど、一般的な常識としてそんな要求は通用しないはずですよね。それと同じなんです。まきもの屋の「おまかせ西洋野菜セット」も、どんなに量をすくなくしても値段はレストランむけのものと同一です。正直なところ、そうしないと商売になりません。1セットの量を減らすということは、そのぶん畑に野菜が余るということ。余った野菜はどうする? たくさんあれば市場に出荷できるかもしれないけれど、少量多品目栽培だからそんなふうにはいかない。つまり「ロス」になるわけです。それに、量が多かろうと少なかろうと、1ケースを出荷する手間はほとんど変らないのが実際のところです。

「珍しい」西洋野菜を好きなときに好きなだけご入手いただくには、やっぱり築地市場(仲卸さんは一般にも小口で売ってくれるところが多いです)、いわゆる「高級スーパー」、一般むけ販売もやっている業務用の「納め」の八百屋さん(ネット販売をしているところもあります)からお買いあげいただくのがよろしいでしょう。いまどきは手にはいらない西洋野菜なんてないというくらいに、マーケットにはいろんな商品があります。よりどりみどりです。

こういった事情をご理解いただいたうえであれば、プロ、アマを問わず、よろこんでお取引させていただきます。「おまかせ西洋野菜セット」のご案内ページ「栽培品目一覧」および「お取引について」のページをお読みいただき、よーく考えてからお問いあわせください。とりあえず「訊くのはタダ」なんて思わないでくださいね。取引の詳細以外はここに書いたようなことしかお答えできませんので。お問いあわせにお返事するのだって農繁期はけっこう大変なんですから、どうかご理解ください。

アンデスレッドとチポロット、ミニ・ポワロー、鴨のコンフィ

というわけで捲土重来。まだまだ未完成のチポロットである。未完成品だから「はねだし」じゃなくて「試しどり」。もちろんミニ・ポワローは「はねだし」である。そんなことより、ジャガイモは端境期じゃないかって? そのとおり。だから「クズイモ」である。しかもこれがほんとうに最後の最後、これがなくなったら、6月末の新ジャガまで待たなくてはならない。やっぱおいしいね、アンデスレッドは。ジャガイモとしてはいまのところいちばんのお気にいりである。

ミニミニのジャガイモは鴨のコンフィと一緒にフライパンで焼いてからオーブンへ。鴨のコンフィは冷凍してあるからこういう手順にならざるを得ない。だいたい、つくってから1ヶ月かそこらで食べきっちゃうんだから、脂のなかに入れて保存しても大丈夫なんだが、1回分ずつ冷凍したほうが場所をとらなくていいだけ。

さて、本題の未完成チポロットである。ミニ・ポワローといっしょにブランシールしてから、鴨のコンフィを焼いたフライパンでソテー、というか焦げめをつける。ミニ・ポワローはちょっと焼きすぎたorz... チポロットは甘みがあっておいしい。青み、つまり葉のところまで甘いんだもの…。塩だけでなんの調味もしていないが充分である。筋っぽさもおおむね解消。やっぱ下処理はだいじだね。

こいつが、このままの首の太さであと5mmから10mm玉がおおきくなってくれればいいんだけど、どうだろうか…。しばらくすれば玉になるのは確実なんだが、問題は首の太さと葉の大きさである。直径27ないし30cmの皿のうえで見栄えよく載ってくれないとおはなしにならない。それも1本で! ミニ・ポワローもそうだが、太さがわずか1mmのちがいで印象がガラリと変わる、むずかしい野菜である。ミニ・ポワローの出荷作業にコンベックスは必須、いや、冗談ぬきでノギスが欲しいところである(1)。ノギスじゃ野菜を傷つけちゃうんだけどね…。

  • 注1) ほんとうにコンベックスを持って収穫するのである。目と手の感覚だけだと、しばらくするとブレてきちゃうのである。

葉タマネギと豚バラ肉のロースト

葉タマネギのローストはいいんだが、豚バラといっしょにオーブンに入れたのがいけなかった(もちろん時間差はつけてある)。タマネギはやたらと油を吸うのである。味の変化という点ではナスよりも油を吸った影響がでると思う。豚バラじゃ油が多すぎる。かき揚げにタマネギが入っていると気が滅入るくらいである。葉タマネギじたいの味は、もちろん加熱するとかなーり甘い。おいしいんだけど、何かもの足りない。ソースをつくらなかったのも敗因かな。家人いわく、ちょっと酸味のきいたソースがいいらしい。バルサミコあたりつかうといいかも。おなじやりかたでローストするなら、ホロホロとかウサギあたりいいかもしれない。冷凍のウズラが残っているから、こんど試してみよう。

個人的には、葉タマネギは茹でてヴィネグレットで食べるほうが好きかな。ミニ・ポワローもそうだが、小ぶりのネギを丸ままのばあいは、ただ焼くだけじゃ筋っぽくなっていけない。焼き鳥の葱マも筋っぽいが、あれは短く切ってあるからそんなに気にならないか。それはともかく、肉といっしょにローストすれば油を吸うから筋っぽくなるのを多少は防げるが、上述のように、豚バラじゃあどうにも多すぎで具合がわるい。葉タマネギについては、たぶん、軽くでも下茹でしてからオーブンに入れるなり、グリルするのが正解だろう。

じつのところ、この葉タマネギ、チポロットの試作なんだが、遅植え限界を探るために植えたもので、年内どりできずにいまごろ大きくなったのである。で、大きくなりすぎちゃった(泣。首が太すぎるんだよね…。抽苔こそしていないが、分球がいっぱい。ようするに失敗作である。味はいいんだけどね…。さて、これが正しくできたチポロットだとどうなるか…。刮目して待たれるべし。

ビエトラのスパゲッティーニ

本日のパスタランチ(笑。なんとも色目の地味ーな写真になってしまった。ビエトラはマルチカラー・タイプのなかの白。はねだしだから選択の余地はない。トマトソースにしてもいいと思ったのだが、それは昨日やったから却下。やわらかく下茹でしたビエトラをアンチョヴィとたっぷりのバター、きざんだポロのソースで煮込む。ビエトラはどれだけ下茹でをしっかりとできるかがポイント。煮崩れることを怖がってはいけない。ペースト寸前まで火を通しちゃってもいいくらいだと思う。この「基本」をおさえておかないと、「これ、おいしくない…」なんて思われかねないところが難しい野菜である。

ビエトラのトマト煮込み、仔羊胸腺肉のソテー添え

というわけで早速、Le ricette regionali italiane にでているレシピでビエトラを調理してみる。ラツィオ州(ローマのあるとこ)の項にある"biete al pomodoro"(1384)という料理である。フレッシュのソース用トマトをつかうことになっているが、これは去年収穫したトマトのピュレ(冷凍)をつかう。せっかくだから、品種は"Roma"にしてみた。あと、アンチョヴィは塩づけはないから、オイル漬けで。それ以外は忠実にやってみる。つけあわせ、というか飾りに、またしても仔羊胸腺肉のソテー。今回はタイムの香りをちょっとつけてみた。

ブレット(ビエトラ)として栽培している品種のほうが王道というか、いいはずなんだが、ざんねんながらまだできあがっていない。今回はマルチカラード・チャードとして出荷しているもののなかの白い株をつかった。品種違いとはいえビエトラはビエトラである。もちろん「はねだし」。

これイイ! トマトのおかげでかなり食べやすくなっているから、ビエトラ初心者むけかも。ポイントは下茹でで、リチェッタの文章だと"Dopo cotte scolarle, tagliarle a pezzi e strizzarle"をきちんと読みとれるかじゃないかな。どの程度下茹でするか書いてないけど、歯応えをのこそうとか、緑と白のコントラストを活かそうとか考えちゃダメ。ましてや、この後トマトソースで煮こむからその分をさしひいて…などというのは余計な心配である。リチェッタに"strizzare"しろと書いてあるんだから、それがちゃんとできるくらい茹でるのがいい。

イタパセを飾ってみたが、仔羊とはいいんだが、ビエトラのほうと合わない。失敗である。

それにしても、このリチェッタ、4人分でビエトラ800gだって。一人宛200g。どんだけ食べるつもりなんだろうか…。あの大株ひとつを4人でムシャムシャ食べちゃうってことか…、ローマっ子も「青菜喰い」か?…って思うでしょ? 大株のビエトラだってしょせんは青菜。茹でたらガッカリするくらい縮んじゃうのである。

そうはいっても、日本のレストランだったら、一人前80〜100gのビエトラで充分かな。それでも多いかもしれないけれど、どっちにしてもまきもの屋のブレット(ビエトラ)は1株500〜600gだから、安さとウリにしている店だとガルニにはちょっと高価かもしれない。しょせんガルニなんてものは安ければ安いほうがいいと思っているひとだってかなりたくさんいるんだから(泣。おいしくない野菜をおいしくない調理でつけあわせにするくらいなら、いっそのことガルニなんてないほうがよっぽどいいのに…。ところで、ビエトラは1株1kg超もできるんだが、包装資材なんかの関係で現状では出荷できないのである。

野菜料理として「ビエトラのトマト煮込み」なんてあってもあんまりオーダーは入らないかもしれないから、肉あるいは魚と組みあわせるのが現実的だろうか。ただ、原価の問題は、じつはどっちを食べさせたいのかという料理人さんの気持ち次第だろう。客の心理としては、肉や魚は おいしくてあたりまえだが、野菜がおいしいと嬉しいものである。このへんは「食べログ」あたりの投稿を読んでいると実感する。そういう意味で、一皿の料理として考えたときのインパクトは倍増するんじゃないか、とビエトラ生産者の立場で宣伝してみる。

LE RICETTE REGIONALI ITALIANE

買っちゃいました。『イタリア郷土料理レシピ』。というか、注文したのはけっこう以前だったのだが、品切れということだったのが、今日ようやく届いたのである。幸いというか生憎というか雨でロクに作業もできないのをいいことに、早速ページをめくってみる。この本、イタリア料理の基本文献みたいなものといわれている。フランス料理でのエスコフィエに相当する感じか。初版は1967年だからけっこう古い。もう40年以上も前の本である。ハードカバー、函入、1206ページ、なかなかの装丁である。もちろん古本じゃなくて、第16版、新品。

扉とか挿絵(写真はない)が19世紀の本みたいでいい感じである。レシピの総数2161(+ベシャメルやマヨネーズのつくりかたが13)、数だけでいったら圧巻である。

そうそう、やっぱり古い本だけに、先日このblogで話題にした「ブロッコリ」というコトバも意味するものがいまとちがっていたりするのが面白い。ラツィオ州の"minestra di broccoli alla romana"(ローマ風ブロッコリのスープ)という料理では、"cavolbroccolo «romanesco»"という表記になっている。これはつまり、いわゆる「ロマネスコ」=カリフラワーのことである。たしかに、ちょっと古い文献をみていると「ロマネスコ」はブロッコリといわれているのがけっこうある。いっぽうで、シチリアの"broccolo fritto"(ブロッコリのフリット)では、"un piccolo broccolo (cavolfiore)"となっている。具体的にこれが何を指すのかはちょっとわからない。

いわゆる「ブロッコリ」の伝統品種に"Calabrese"というのがあるからと、カラブリア州のところを見ても、「ブロッコリ」はさしあたり見あたらない。もっとも、ある料理人氏いわく、この本にあつめられているリチェッタはやや偏りがあるとのこと。

いや、まぁブロッコリはどうでもいいんだが、たとえばビエトラの調理法についてご提案申しあげるにしたって、面倒なときはこの本の1384番をご参照ください、なんてこともできなくはないかも。いえいえ、そんな横着をするためにわざわざ大枚をはたいたわけじゃございません。研究熱心といってくださいな(笑。

で、いきなりけっこうすごい発見があったりする。「オレッキエッテ・コン・チーメ・ディ・ラーパ」、この野菜をつかった定番の料理なんだが、ふつうはイタリア語のリチェッタをみても、アンチョヴィとペコリーノ(あるいはパルミジャーノ)をつかうのが多いみたいなんだが、この本のリチェッタでは、オレッキエッテとチーメ・ディ・ラーパを熱湯に入れて茹であがったら冷いままのオリーヴオイルをたっぷりかけて塩コショウで味つけするだけ。なんとも素朴である。いや、郷土料理なんだから当然といえば当然なんだが、まきもの屋のイタリア料理の知識不足をあらためて痛感した次第。チーメ・ディ・ラーパを売っていながら、まことにお恥かしいかぎりである。しっかり勉強します…。

ブレット、ビエトラ、スイスチャード

さんざっぱら悩んだ挙句である。いや、もう、何と呼んでいただいてもかまわないのである。だいたい、ブレット、ビエトラ、スイスチャード、フダンソウ、ぜんぶおなじ野菜のフランス語、イタリア語、英語、日本語の名称なのだ(いや、日本語で「フダンソウ」というとやや形質のちがうものになるか…)。

それはともかく、今シーズンのまきもの屋の商品としては

  • ブレット(ビエトラ)…葉柄の幅広で白い品種
  • マルチカラード・チャード…葉柄が赤、黄、オレンジ、ピンクになる品種でフルサイズ
  • ミニ・チャード…葉柄が白、赤、黄、オレンジ、ピンクのハーフサイズ

さいごのミニ・チャードは「ミニ」とはいっても長さ30cmくらい。日本で青果として小売されているホウレンソウなんかより長い(日本だって業務用は大きいし、ヨーロッパにいくとかなりの大株にする。そういう野菜なのである)。これはフルサイズのものとくらべて「ミニ」ということである。だいたい、それを言いはじめたら、ミニ・ポワローだって長さじたいはけっこうあるんだよね。さらに小さいものを売るときどうする? そんなことはそのときになってから考えればいい。

だいたい、こんなに頭を悩ませなくっちゃいけないのは、市場名が、マルチカラーのものは「スイスチャード」、葉柄の白いものは「ビエトラ」というようになっているから。コトバの問題だけなら、どっちもおなじものを指すのである。ところが、「スイスチャード」=色つき、「ビエトラ」=白、ということで定着しちゃっているわけで、慣用をひっくりかえすこともできない。常々申しあげるように、名称の混乱はよろしくないのである。

それに、「ブレット」とか「ビエトラ」のほうに「マルチカラー」という意味の語をつけるのはいいんだが、フランス語、イタリア語の名称に英語をくっつけるわけにはいかない。そんなのは絶対にダメである。もちろん、フランス語の「ミュルティコロール」、イタリア語の「ムルティコローレ」なんてカタカナで書いたって意味不明である。「ブレット・ミュルティコロール」なんて誰がみたって「?」にきまっている。「マルチカラー」ならなんとか一般にも受けいれてもらえるんじゃないか。そういうことである。

ちなみに、「マルチカラード」multicolored は英文法でいうところの「疑似分詞」である。 まきもの屋のささいなこだわりであるが、「ド」一文字なんて看過されるにきまっているから、ほんとうのところどうでもいいのである。

イタリア語だと"bietola multicolore"である。"Bietola"じゃなくて"bieta"でもいい。ほかにも地方名があったはず。フランス語なら"blette multicolore"となる。

なんで「スイスチャード」にしなかったかって? そもそも何故「スイス」なのかよくわからないから。それに、既存の「スイスチャード」とは商品形態がやや異なるから、ただそれだけのことである。「白いの」「赤いの」「黄色いの」「ちっちゃいの」と小鬼を呼ぶように呼んでいただいていっこうに構わぬ。フルサイズ(大株)のものは、煮くずれる寸前まで加熱するのがおすすめである(加熱とはいっても、下処理なしにグリルはおすすめできないが)。調理法さえ的確なら、とにかくおいしい野菜なので、まきもの屋の今シーズンのイチオシ商品である。市場、小売店等でお見かけの際にはどうぞよろしくお願いいたします。

乾燥プリンチペ・ボルゲーゼとミニ・ポワローのリゾット、仔羊胸腺肉のソテー添え

ミニ・ポワローが「はねだし」だからできる荒技(笑)である。一人宛5本のミニ・ポワローを2cmくらいの長さに切ってひとつかみほどのドライトマトとリゾットにする。もちろんブロードはつかわない。プリンチペ・ボルゲーゼとミニ・ポワロー、ほんのすこしの白ワインだけでじゅうぶんにウマウマである。いや、もちろん仕上げにバターとチーズはたっぷり入れているわけだが…。

野菜バカ(笑

まきもの屋のことではない。そりゃ「専門バカ」かも知れないけれど、そういう意味じゃなくて、こちらのニュースがネタ元。「野菜をたくさん食べようとするあまりに、野菜の栄養がまったく吸収できていない人のこと」を「野菜バカ」と言うんだそうな。

こりゃ、「スイーツ(笑」ですな。推察するに、生野菜サラダとフルーツジュースだけで一食というところからはじまって、油はよくないからと、野菜だけの蒸し煮を山盛り食べて、とってもヘルシーで美容にもいいから(笑)なんておっしゃっているんだろうか。きっとおいしくないんだろうな。たんなる無知、無教養が原因だろう。こういうひとたちをうまく啓蒙しないと日本の蔬菜園芸の壊滅がいっそう早まってしまうかもしれない。いや、壊滅しようがなんだろうがいっこうに構わないというのが個人的な本音なんだが。

もうすぐブレット(ビエトラ)の市場出荷がはじまるからいちおうご案内しておくが、かならずクタクタになるまで茹でて、たっぷりのバターあるいはチーズとあわせていただきたい。基本はよく茹でたものをバターでソテーして塩、コショウで味つけすること。肉料理のつけあわせにおすすめである。リゾットもいいが、やっぱり下茹でしたものを刻んでつかってほしい。仕上げのバターとチーズをケチらないことがポイントである。下処理をしないでいきなりグリルするなんて絶対におやめいただきたい。

日本で「サラダ」というと生野菜ばっかりのものをイメージするが、フランスの"salade composée"とくに"salade niçoise"(ニース風サラダ)なんかはジャガイモ、アンチョヴィ、ツナ、オリーヴなんかをふんだんにつかう。これとパンで軽めの食事にするわけである。イタリアの"insalata mista"はレタスだけだったりして、日本の「サラダ」のイメージにちかいが、これは「コントルノ」、つまりサイドディッシュである。それだけで一食を完結させたりなんかしない。というかそんなことあり得ないのである。

日本では妙に誤解されて広まってしまった野菜料理の代表が「ラタトゥイユ」である。あれは野菜をオリーヴオイルで煮たものである。米ナス2ヶ、ズッキーニ2本、パプリカ2ヶ、トマト3〜4ヶ、にたいしてオリーヴオイル約100mlはつかうのである。で、野菜が煮くずれるくらいまで加熱する。野菜の原型をのこして「クロッカン」に仕上げるなんてウソぶいてはいけない。じっくりと野菜の味をひきだすように加熱するのである。水はおろか、固形スープの素もつかってはいけない。それから、オリーヴオイルの量にたじろいではいけない。そもそもオリーヴオイルをケチるくらいなら、ラタトゥイユなんてつくらないほうがいい。

野菜の火入れについては、どうも日本では歯応えがのこるくらいが好まれるのだが、それが エスカレートしたのか、ロクに火が通っていないゴリゴリのサヤインゲンとかサヴォイ、あるいは明かに下茹でなし、灰汁抜きなしでソテーしたホウレンソウなんかをまのあたりにすると、それがプロの料理人氏の手になるものであれば、絶対にじぶんの栽培した野菜は使ってほしくないと思うのである。

基本的にフランス・イタリア野菜というのはクタクタ、グズグズになるまで火をとおすものである。ポトフなんて肉も野菜も煮崩れるくらいがいいのである。そもそもコンソメの原型なんだから、何時間もかけて煮こんで味をひきだすのである。キャベツとニンジンとソーセージに固形スープの素をくわえて30分くらい煮たものをポトフとはいわない。

Blette multicolore et confit de canard

ひさしぶりに料理名もフランス語で。日本語だと「スイスチャードと鴨のコンフィ」、なんともシマらないのである。そう、「つけあわせ」はまたしても鴨のコンフィ。まとめてつくるから当然といえば当然なのである。さて、比較的若どりのスイスチャードの葉柄だけをブランシールしてから鴨のコンフィの脂でソテー。そんなしみったれたことしないで、バターとアンチョヴィをつかえばよかった…。基本は大事ですな。とはいえ、組みあわせとしては悪くないかもしれない。チャードが若どりじゃなくてフルサイズだとどうなるか、たのしみである。ところで、写真の盛りつけについては不問に付していただきたい。素人料理だからそんなことはどうでもいいのである。

こんなのでも「商品開発」の一環である。だから、今日のスイスチャードは「自家消費」にはならない(はず)。というか、鴨も経費になるかな…? スイスチャードの大きさ、荷姿、商品提案、使用量の目安、そういういろんなことを考えるためにはどうしても必要なんだけど…。

Cime di rapaのフランス語表記をPousses de navet (Broccoletti)にしてみる件

イタリア語で"cime di rapa"は別名"cime di broccoletti"または単に"broccoletto"なので、フランス語表記を"broccoletti"にすると、「そのまんま」ということになるんだが、あるフランス人の料理人氏によると、こっちのほうがフランス語として通りがいいようなので、素直なまきもの屋としては一部改変させていただく。

取引を検討してくださっているというフランス人料理人氏がわざわざ畑までご足労くださったのである。で、こんな感じのやりとりがあった。

ま) Ici, y a que trois... vous avez de jeunes poireaux, blette multicolore, pousse de navet...
F) C'est un navet?
ま) Non, c'est des POUSSES de navet, ces pousses ça se mangent... C'est un légume italien, donc, peut-être que vous ne connaissez pas... Les anglais...non, les américains l'appellent "broccoletto"...
F) Ah ! BROCCOLETTI !
ま) "Broccoletti" en français? Je n'ai jamais entendu parler de ça en France...
F) Mais depuis deux ans !

ま、そういうことである。内容はさいしょの段落で要約したとおりなので、フランス語のみでご容赦ねがいたい。そうそう、"mini poireau"というのは「商品名」で、フランス産もおなじいいかたのものがあるみたいだけど、一般名詞としては"jeune poireau"である。ついでに、日本での市場名は「ポワロジューヌ」、通称「ジューヌ」なので、いつもお世話になっているM社長とのやりとりなどではたんに「ジューヌ」と言っている。

料理人氏と一緒にお越しくださった会社の方は料理人氏と英語で、まきもの屋とはもちろん日本語で話し、まきもの屋と料理人氏はフランス語で会話したのだが、これがなんとも面白い光景だったようで、家人は我関せずとニヤニヤしていたみたいだ。

ちなみに、料理人氏のことばが少ないのは、この場面ではまきもの屋がご説明申しあげる立場にあったから。まきもの屋が忘れちゃったわけじゃないのである。

カモネギ

ミニ・ポワローのソテーと鴨のコンフィ。思いっきりベタな組みあわせである。が、個人的にはこれは否定したいところである。ネタにいいかなと思ったが、じっさいにやってみてすこしばかり後悔。カモネギはやっぱり鍋。和ネギの辛みがあったほうがいいし、鴨の脂の味との組みあわせがおいしいんだと思う。だいたい、コンフィは脂で煮ることで脂を抜くわけだから、鴨本体の脂なんかほとんど残っていないわけである。ミニ・ポワローでカモネギをやるんだったらオーソドックスに胸肉あたりか…。マグレなんかいいかもしれないね。

なんか平板な仕上りになってしまったわけで、塩漬けのポワヴル・ヴェールかポワヴル・ロゼでもちらせばすこしはちがうだろうか…。ミニ・ポワローの香りを活かすには、ヘタにハーブなんかつかえないし…。やっぱり組み合わせに難があるんじゃないかと、料理のウデを不問に付して食材のせいにしてみる。もちろん、ミニ・ポワローをうんざりするくらい食べ慣れちゃっているせいもあるかもしれない。でも、どうしても鴨のコンフィにあわせるなら、グリルした葉タマネギのほうがよっぽどいいような気がする。こんどためしてみよう。

ちょっと思いついたんだが、ミニ・ポワローに酸味があればけっこうコンフィとも相性がよくなるかもしれない。酢漬けのこともフランス語でコンフィというから、「ミニ・ポワローのコンフィ、鴨のコンフィ添え」(笑)でどうだろう。

「おまかせ西洋野菜セット」出荷時期の矛盾

賢明な読者(たぶん同業者でしょうが)はお気づきのことと思うが、サイトに謳っている「おまかせ西洋野菜セット」の出荷時期は5月から翌年の1月なのに、4月に発送しているわけである。そう、一部の理解ある取引先には冬のあいだもノンストップあるいは隔週でお送りさせていただいていたのである。

ただ、冬の厳しい高冷地ゆえに、端境期はどうしても確実な「お約束」ができないという事情がある。さすがに欠品はしなかったが、品目数も量目も減らさせていただいたりということはあった。それでもご理解いただき、お取引つづけていただいたことはまことに深謝すべきことで、こういうお取引先はますますもって大事にお付き合い願わねばならないと思う次第である。とはいえ、基本が露地栽培なだけに、欠品しなかったということだけでも、生産者の立場としてはじぶんに合格点をやりたいくらいなのも正直なところである。

ちなみに、かつて大学というところで授業をし、期末試験の採点、成績判定をする立場にあったが、その基準というのが大学ごとにまちまちであったのはまことにおもしろい。A,B,C,Dあるいは優、良、可、不可、となるわけだが、もちろんDと不可は不合格で単位を認定されない。その基準点が60点だったり50点だったり、はたまた40点というところもあったか(うろ憶えである)。もちろん100点満点の場合のはなしである。いや、いわゆるFランクの学校だと、学力云々だけで単位認定するとどういうわけか問題になったりして、真面目に授業をうけていたのに試験の点数はそんなに高くない学生でもそれなりにプラスに評価すべし(つまり単位を認定しろ)というお逹っしがあったのは事実である。

ともかくも、上で述べた「自分に合格点をやりたい」というのがいかに甘いものかは同業たる生産者であればおわかりいただけることだろう。そんなわけで「頑張った自分にご褒美」、トロ…(笑

ルーコラ・セルヴァチカのスパゲティーニ

本日のパスタランチ(笑。ルーコラ・セルヴァチカの旬である。ハウス内が生育適温だからグングン成長する。個人的にはこの時期のものがいちばんおいしいと思っている。もっともそれも好き好きである。さて、定番というかオーソドックスにパスタにあわせる。トマトソースもいいが、今回はオイルソースで。

スパゲティーニとほとんど同時にルーコラ・セルヴァチカを鍋に投入。この野菜も、加熱するならいっそクタクタにしたほうがおいしい。そうそう、日本では「ハーブ」あつかいされることもけっこうあるようだが、イタリアではれっきとした「野菜」あつかいである。で、ルーコラ・セルヴァチカもルーコラ・コルティヴァータと同様に、加熱した瞬間にあの風味はなくなってしまう。中途半端な加熱じゃただのアブラナ科の菜っ葉になりかねない。だから、加熱するならば甘みをしっかり引きだすようにしたほうがいいだろう。あたりまえのことなんだが、ごく若い葉をべつにとっておいて、それを最後に生のままちらして仕上げる。2種の調理法をつかっているわけだから、これもデュカスの言うところの「デクリネゾン」の一種か?

サヴォイのクリームチーズ包み焼き

リコッタあたりがいいなと思ったのだが、冷蔵庫にはフィラデルフィアですらない無名ブランドのNZ産クリームチーズしかない。そりゃそうだ、一般家庭、まして田舎の農家がリコッタやらモッツァレッラやらマスカルポーネみたいな足のはやいチーズを常備しているなんてことはあり得ないのである。でもまぁやってみようということで、やわらかくブランシールしたサヴォイを冷水にとって水気をしっかりと切ったのちに、葉柄を削いでクリームチーズを包む。それだけじゃなんだから、パン粉とオリーブオイルをちらしてオーブンに入れてみる。耐熱皿のまんま食卓に。しつこいようだが、ワインはM社のBという紙パックである。

あっ、イタパセを摘んでくるのを忘れた。ハウスまで歩いて30秒なんだけど、夜だし、寒いし…まあいいや。家庭料理なんてそんなものである。結果は、こりゃチーズ次第ですな。基本的な構成は大正解。ウマーです。またしても自画自賛。もっとも、そんなにひねった料理じゃないし、そもそもサヴォイで何かを包むなんて基本中の基本だから、文献あさったら似たようなのはきっと出てくるんだろう。案外、例によって田舎者の無知ぶりをさらしているだけだったりして…。

どちらかといえば、やや酸味のあるチーズがいいと思う。いや、スカモルツァ・アフミカータかプロヴォーラ・アフミカータあたりもいいかな。でも、これから山羊チーズのシーズンだから、そっちもいいかも。まきもの屋の貧乏人ヴァージョンは安いクリームチーズがカッテージチーズになっちゃうかな…。

今日の「つけあわせ」? 現在、冷凍モノのシャラン産鴨の脚を鵞鳥の脂で煮ているところである(笑。

まきもの屋のフランス語翻訳サーヴィスをご利用ください(笑

まるっきり無関係なので、誹謗中傷にならないためにも、どこのお店とは申しませんが、関西方面で話題の高級フレンチのサイトを拝見して驚愕いたしました。日本語のほかに、英語とフランス語のページもあって、WEBデザインとしてはまことに手の込んだ、しかも素晴しいセンス。が、フランス語ページがどうにも…。というか、あんまりにも間違いが多くて、フランス語としてかなりの部分が意味不明なんですよ。フランス語のプロあるいはフランス語を母国語としているひとでも、かなり内容を斟酌というか類推するのに骨が折れることでしょう。

どうやら、フランス語はシェフご本人の文章でしょうかね。音声化すると、文法のツメの甘い、いわゆる「野良フランス語」だというのがよくわかります。単語の羅列を勢いとフィーリングで無理矢理コミュニケーションとして成立させちゃうというやつですね。どんなに和仏辞典を一所懸命ひいても、それだけじゃ「フランス語」にはなりませんがな。そんなものを仰々しく気取って掲げられると、あまりのイタさに、見てるほうが恥かしくなっちゃいますよ。ある程度のグレードのフランス料理店なんかだと、フランス語のかなりわかるお客さんもけっこうな数になるはずなんだけど、失笑を買いませんかね。まあ、客の側からふつうはそんなこと指摘しませんけどね。それが大人というものです。

個人的には、ここは日本なんだから、ヘタに間違ったフランス語なんかつかわずに、お客様に日本語でわかりやすくお伝えしたほうがよろしいのではないかと考えますが、そこはいろいろと経営戦略なりおありなのでしょうな。それならば、料理、外食産業に精通した翻訳エージェントにおまかせになられたほうが、恥をかかずに済みましょうに…。

というわけで、まきもの屋も「フランス語翻訳」を業務として掲げておりますので、ぜひご利用ください。すでにあるフランス語の文章の校閲も承ります。農繁期なので納期は多少お時間をいただくことになりますが…。料金はフランス語翻訳承りますのページに明朗会計でご提示させていただいております。10年前のお値段です(笑。

ミニ・ポワローのココット焼き、ペコリーノ・ロマーノ、つけあわせは豚肩肉のロースト

さいしょに考えたのは、ミニ・ポワローと温度卵、ペコリーノ・ロマーノの組みあわせ。そう、ホワイト・アスパラガスでやるアレの貧乏人ヴァージョンである。が、温度卵をつくるのが 面倒なので、ちょっと変更。ココットといってもミニ・ポワローを切りたくなかったから、グラタン用の耐熱皿でやってみる。

ミニ・ポワローはかるくブランシールしておく。そのままオーブンに入れたんじゃ筋っぽくなってしまってよろしくないのである。耐熱皿に並べたうえにペコリーノ・ロマーノをふりかけ、貧乏人ヴァージョンなので、ついでにパン粉も散らしてみる(貧乏人のチーズというヤツですな)。オリーヴオイルをかるく回しかけ、卵をのせてオーブンへ。焼きあがったら皿に移しかえて、ふたたびおろしたてのペコリーノ・ロマーノをたっぷりかけてやる。耐熱皿のままでいいのだが、どうしても絵としてここは「つけあわせ」をセットにしたいからわざわざ皿に移したわけである。

えー、はっきりいっておいしいです、コレ。自画自賛です。「つけあわせ」なんかどうでもいいや。スーパーで売っている卵なんかじゃなくて、もっと素性のいいものだったらとんでもなくおいしいかも。あとはミニ・ポワローの下茹で加減、塩、最終的な火入れ、そのあたりのウデ如何では商品になるんじゃないかという気分にさえなる。お店でだすなら、ミニ・ポワローはブロードか何かで下茹でしたほうがいいかな…。パン粉はけっこう重要ポイント。たんなるシャレのつもりだったけど、食感のアクセントにいい。あと、ペコリーノはケチっちゃダメですな。それにしても、白身はかなり固化させても黄身をトロリとできるんだから、こっちのほうが温度卵よりいいかも…。パセコンくらいパン粉にまぜるといいかな。

スパゲッティ・ミートソース

複数の取引先の料理人氏から料理ネタを「面白い」とのおことばを頂戴した。お愛想とはいえまことに有り難いことなんですが、いやぁ、素人料理でして、あくまでもシャレなんですよね…。シャレといっても、いちおう捻っていて、構造的にはいわゆるグルメBlogとか「食べログ」あたりのパロディなんでして。食材と調理法には言及するけれど、レシピは書いていないでしょ? できたてを早く食べたいのをガマンして写真をとっているわけです。パロディの意図があるからやっているけれど、そんなに長続きしないだろうな…。だってバカバカしいもん。で、料理はというと、やってることはようするに「まかない」なわけで、いかに安く、手持ちの材料で素早くつくるかということなんですよね。

さて、本日はパスタ・ディナー(笑)である。アンティパストもセコンドもない。いちおうワインは国内メーカーの紙パックの赤(いろんな種類があるけれど、どうにか飲むに耐えるのはM社のBだけなのが残念)。で、スパゲッティ・ミートソースである。ラグーじゃない。正真正銘、日本式ミートソース。なにしろ合挽きとタマネギをつかっているのである。パスタはマ・マーの1.8mm(ゆで時間11分)である。トマトは"Roma"の冷凍ペースト。"San Marzano"系とならんで代表的なソース用トマトである。キメの細かいペーストができるのでいい品種なんだが、残念ながら今年は播種しなかった。

あとの材料はニンニクとカイエンヌ、オリーヴオイル(スタートだけ)、塩、コショウ、仕上げにバター(有塩)でモンテ。日本式ミートソースだとバターはスパゲッティにからめるんだったと記憶しているが、ソースをおいしくしたほうがいいので、パスタのほうは茹であげたまんまである。チーズはペコリーノ・ロマーノ。キロ買いできる程度の値段のものだから、そんなにいいもんじゃない。グラム換算だとクラフトの粉チーズとあんまり変わらないのである。

ポイントはやっぱり合挽き肉とタマネギ。普段トマトソースにタマネギなんかつかわない。冗長になるから。だいたい、たいていの料理でブロードもフォンもフュメもつかわないのである。家庭料理でそんなのやってられないし、インスタント・キューブはMSG味がイヤなのである。トマトの旨味はグルタミン酸だから、欲しいとすればイノシン酸であって、別口でグルタミン酸を足さなきゃならないようなトマトじゃそもそもおはなしにならない。よく「フレッシュトマトの○○」なんてパスタにしろソースにしろあるみたいだけど、品種選定は適切なんだろうか…。トマトは品種間差がおおきい野菜なんだけど。

あんまりソース適性がたかくないとされるトマトのなかで、"Costoluto fiorentino"は例外か…。半割りにして塩とオリーヴオイル、ニンニクとイタパセの微塵切りをふってオーヴンでじっくり焼いたのをフォークでグチャグチャつぶしてそのままパスタのソースにするのはけっこうおいしい。見ためがちょっと似ているからといって"Marmande"なんか使ってはいけない。あれはトマト・コンサントレかトマコンにいいのであって、あとはクリュディテかトマト・ファルシがせいぜいである。というか、トマコンにはあれがいちばんなんだが、そういう需要もあんまりないようだし、今年は播種していない。そりゃそうだ、トマコンなんかでつかうにはまきもの屋の"Marmande"は高価すぎる。桃太郎あたりお使いいただくのが商売としては現実的でしょうな…。それでもトマトは17品種は播種したので、いろいろお楽しみいただけることと思います、ご期待ください。8〜9月の「おまかせ西洋野菜セット」はトマト祭りの予定です(笑。

追記:と、"Marmande"の話しを家人としていて、サバの白ワイン風味とかエスカベッシュにあれのトマコンが散らしてあったら目がさめるくらいおいしいよね、ということで意見が一致。急遽、明日ちょっとだけ種まきすることに。

チーメ・ディ・ラーパのリゾット

七草がゆではない。リゾットである。ちょっと水が多すぎたorz... いつもテキトウなのである。オレッキエッテを手打するまでの道程は遠い、というか、きっとシーズン中はそんな余裕はない。コメ、ニンニク、カイエンヌ(香りづけにホウルで)、アンチョヴィペースト(チューブのやつ、フィレはもったいない)、白ワイン、オリーヴオイル、無塩バター、ペコリーノ・ロマーノ、塩、コショウ、である。チーメ・ディ・ラーパはコメを炒める段階で投入。やっぱりこのくらいしっかり加熱したほうがいい。

しつこいようだが、春はチーメ・ディ・ラーパの一般的な意味での「旬」ではない。倉渕ではこれから夏にかけてとれるが、高冷地だから時期がずれているわけである。ほんらいは暖地の冬野菜である。そのことだけはお忘れなきよう。

イタリアンに筍?

これはいろいろと差し障りがあるだろうから、あんまり具体例は書けないが、個人的には絶対にうれしくない。というか、食べたくない。

どうも、そもそもの発想の根っこにはカルチョフィからの類推があるみたいだ。そこがイヤなのである。だったら輸入でもなんでも、カルチョフィを使うのがただしいはず。需要が顕在化すれば、国内生産だってできる。もちろん、輸入の事情というのもあって、3月4月にフレッシュのカルチョフィをつかおうとすると、産地が限定されるし、値段もけっこうなものになるはず。そりゃそうだ。フランスあたりじゃ5月から11月までの野菜なんだから。5月になれば国内産も出まわるんだから、それまで待てばいいのに。

カルチョフィ→筍の類推がイヤなのは、小振りのもののオイル漬けあたりのイメージと思われることである。フレッシュのカルチョフィをやわらかく茹でたものは無視ですか? いや、オイル漬けや冷凍なら輸入で安くはいっているんだから、ますますそっちをつかうべきなんじゃないですかね。筍じゃ香りのちがいは如何ともしがたいはず。それを無理矢理ねじふせるんだか、スルーしているんだかわからないが、本質的にはダイヨウの域をでないんじゃないですかね。それとも「アジアティコ」なイタリア料理を日本でアピールするということなんだろうか。東京イタリアンってやつですかね?

倉渕でも4月末にもなれば孟宗竹がでてくるが、本命は6月の真竹である。こっちのほうがアクもすくなく、やわらかくておいしい。ね、筍=春のイメージがゆらいじゃうでしょ? そもそも「孟宗は幼(いとけ)なくして父におくれ…」の故事で有名なように、あれは筍のなかでも早くでてくる種類であって、それをもって「春」というのはちょっといただけない感じもしないではない。