Archive for June 2009

ブレット(ビエトラ)と油揚げの煮浸し

「らしくない」と言われそうだが、和食である。ブレット(ビエトラ)はようするに「フダンソウ」、沖縄でいう「ンスナバー」の品種ちがいなんだから、和食の「出汁」との相性が悪いわけがないのである。鰹の出汁はもちろん、桜蝦、浅蜊、烏賊なんかもいいかもしれない。って、烏賊じゃあ、まんま醤油味の"seppie in zimino"じゃない(笑。

けっこうイケるんじゃないですかね。ポテンシャルはそれなりにあるんじゃないかと。ポイントはブレット(ビエトラ)の風味を下茹での際にどうコントロールするか、いかに出汁をブレット(ビエトラ)に含ませるか、というあたりでしょうな。

ただ、ヘタをすると、むかしの場末の定食屋の味みたいになりかねないので、柔かくなるまで下茹でしたあと、充分に水にさらしてよくアクを抜いたほうがいいかもしれない。イタリア料理なんかだと、あんまりアクを抜きすぎるとおいしくなくなっちゃうんだが、和食だとあんまり風味が強いのは野暮ったくなっちゃうように思う。かなりアクを抜いたって、「野菜本来の味(笑」はしっかりするはず。

フランス料理におけるブレット(ビエトラ)

まきもの屋がいくら、フランス・イタリアでポピュラーな野菜だと声を大にして申しあげても、かんじんの料理人さんがご存知なかったり、名前は知っていても使ったことがないんじゃ、そりゃどうしようもないのである。まるっきり「ごまめの歯ぎしり」である。

さりとて、まきもの屋は繁忙期にそんなにしょっちゅう料理BLOGを書けるわけではない。ましてや、ブレット(ビエトラ)ばかりというわけにもいかない。そんなわけで、フランスのレシピサイトのリンクを貼っておくので、ご参照いただければ幸いである。フランス料理人さんだったら、この程度のフランス語は日本語とおなじくらいなじみがあるはずだから、とりあえずリンクだけ。それ以外の読者諸賢におかれましては、まきもの屋が暇をみて料理を再現するなり、オリジナルをアップするまでアテにしないでお待ちいただければと存じます。

素人のレシピサイトじゃないかって? いや、だから、ほんとうに庶民的な食材なんですよ。そこのところをご理解いただきたいわけです。それをどう「レストランの料理」にするかはシェフの創造力次第ということで。

それにしても、ほんとにご存知ない方が多数派なんですか? ちょっと信じ難いんですが、それが本当だとすれば、いまこそチャンスですよ! フランスでは「あたりまえ」なのに日本でめったに使われていない食材なんで、いまやそうそうあるもんじゃないですから。ぜひとも、まきもの屋のブレット(ビエトラ)で、ホンモノのフランス料理をアピールなさってくださいな。(いや、こちらとしても本当に必死なんですよ。まさかプロの料理人さんがブレットを「知らない」なんて、まったくの予想外でして…。)

ズッキーニ(ロマネスコ)と新ニンニクのスパゲティーニ

ひさびさ(?)の「パスタランチ(笑」である。ズッキーニ(ロマネスコ)は断面がややはっきりした10角形で、表面は濃緑と淡緑のシマシマのやつ。やや歯ごたえがしっかりした肉質なのが特徴。次回の「おまかせ西洋野菜セット」にお入れするから、そのまえにきちんと味見をしておかなければならないのである。ちなみに、市場出荷はしない予定。そんなにたくさん植えてません。それに、この時期ズッキーニは市場にあふれかえっているんだし、丸いのやら黄色いのやら、面白ズッキーニがよりどりみどりなんですから(丸ズッキーニにかんしては、先日築地で見たのはやや大きすぎの印象のものが多かったな…)。

じつのところ、今日の眼目はニンニクである。なにしろ去年の保存モノをずーっと使いつづけてきたんだから、新物はなによりうれしい。まだ皮も乾いていない状態でかなり水分が多いが、それはそれでいいものである。おかげで、ズッキーニのほうが霞んでしまった(あくまでも気分的なものだが)。

和食と西洋野菜

イタリア料理、フランス料理でお使いいただくことを念頭に西洋野菜を栽培しているが、ある和食屋さんで7月の「お通し」にまきもの屋のブレット(ビエトラ)をご採用いただけるかも、というはなしがあったり、べつの和食屋さんでホタテの刺身にビーツ(キオッジャ)の薄切り(生)が添えてある写真をWEBでみつけたり…。まことにありがとうございます。

存外、和食の世界のほうが食材にたいしてはアグレッシヴなのかなぁと思ったりもする。いや、フランス料理なんかも本国ではミズナや和ネギみたいな日本の野菜が流行だったりするから、ちょうどそれと逆のことなんだろう。むずかしいのは、日本のフランス料理となると、そういうフランスでの流れみたいなものの「表層」だけをとり入れちゃったりすること。そりゃ日本だもの、和の野菜はたくさんありますがな。で、見た目だけはフランスの一流シェフの料理とそっくりなのができちゃったりする。

でもねぇ、フランスでフランス料理に和の食材をとり入れることと、日本でフランス料理に和の食材をつかうことは、本質的には等価じゃないと思うんですよ。食を「文化」としてとらえたときには、意味合いがまったっくちがうんじゃないか。いまみたいに輸入食材もふんだんじゃなく、国内での西洋野菜の生産もほとんどなかったころには「代用」があたりまえだったわけで、それがヘンな意味で習慣化しちゃっている現実があるでしょう? そういう状態で和の野菜をつかっても、皿の上でのロジックとして「ダイヨウ」がどこかにあったりするんじゃない?

日本でフランス料理、イタリア料理をなのる以上は、まずはフランス、イタリアの食材を十全に使いこなしてほしいじゃないですか。そのうえで和の食材なり新野菜なりをとり入れていただきたい。じゃないと、東京フレンチ、東京イタリアンなどとうそぶいてみても、「なんちゃって」の域をでないんじゃないでしょうかね?

そりゃ、ブレット(ビエトラ)なんかはものすごく庶民的な野菜だから、ガストロノミーの世界で修行なさった料理人さんがご存知なくたっておかしくはない。でも、中央集権的、全国一律にみえるフランス料理だって、根っこのところにあるのは郷土料理、庶民の食卓でしょう? ましてや、ビストロみたいな気取らない業態が流行りの昨今、ブレット(ビエトラ)なんかは需要が爆発したっておかしくはないと思うのに、現状ではサッパリ…。ある八百屋さんによると、フランス料理人さんのなかでブレット(ビエトラ)をご存知なのはだいたい1〜2割くらいという印象らしい。まぁ、ブレット(ビエトラ)にかんしてはアセらず気長にご提案させていただきますが。

じっさいのところ、西洋野菜だからといって、かならずしも和食との親和性がないわけじゃないのは、現代の日本の「一般野菜」の多くが、古くは中国から、近代は欧米からもたらされたものばかりということを考えてみてもよくわかるだろう。スナップエンドウなんて、いまじゃ庶民的な一般野菜だけど、そもそもUS系の"sugar snap pea"だもん。日本に導入されたのだってそんなに古いはなしじゃない。キュウリは中国大陸からもたらされたけれど、江戸時代には「下のもの」といって好まれなかったというはなしだってある。

まきもの屋は和食は個人的に大好きだが、やっぱり専門外なので、和食を意識した商品提案というのはなかなかできないのが正直なところである。こればっかりは料理人さんの創造力に期待するしかない。とはいえ、和食のほうも西洋野菜にかんして、なかなか面白くなってきそうな予感である。

というわけで、ブレット(ビエトラ)のキャンペーン、今回は栄養価のはなし

国内でも細々と栽培されてはきているんだが、なかなかマーケットにでまわることのないブレット(ビエトラ)である。まきもの屋はあくまでもヨーロッパ標準でやっているので、葉柄(軸)が白くて幅広の品種を採用している。が、仲卸さんの「意外とブレット(ビエトラ)を知らない料理人さんが多い」というお言葉が、現状を端的に表しているように思う。

そう、まるっきりのマイナー野菜なのである。そりゃ日本の「フダンソウ」だっていまじゃあんまり栽培されていないんだから、しょうがないといえばそうなんだが、すくなくともイタリア料理、フランス料理の世界じゃそれは嬉しくないのである。

イタリア、フランスではほんとうにあたりまえの、ごくごく庶民的な野菜なのである。日本の料理本ではホウレンソウに置きかえちゃっているか、「ホウレンソウで代用」とされていることが多いが、代用はあくまで代用。やっぱりホンモノをお使いいただきたいものである。って言うか、「知らない」って…。

というわけで、栄養価のはなしである。植物としてはホウレンソウの親戚、ビーツの兄弟みたいな「菜っ葉」である。栄養価もホウレンソウと似た特徴がある。以下、ソースはイタリア語版Wikipedia。「茹でたもの、175g中」というなんとも中途半端な数字だが、これは可食部「1カップ」というのをもとにした数字らしい。

  • ヴィタミン K:572.80 mcg
  • ヴィタミン A:5493.25 IU
  • ヴィタミン C:31.50 mg
  • マグネシウム:150.50 mg
  • マンガン:0.58 mg
  • カリウム:960.75 mg
  • 鉄:3.96 mg
  • ヴィタミン E:3.31 mg
  • 食物繊維:3.68 g
  • 銅:0.29 mg
  • カルシウム:101.50 mg
  • トリプトファン:0.03 g
  • ヴィタミン B2:0.15 mg
  • ヴィタミン B6:0.15 mg
  • 蛋白質:3.29 g
  • リン:57.75 mg
  • ヴィタミン B1:0.06 mg
  • 亜鉛:0.58 mg
  • 葉酸(ヴィタミンB9):15.05 mcg
  • ビオチン(ヴィタミンB7):10.50 mcg
  • ヴィタミン B3:0.63 mg
  • ヴィタミン B5 :0.29 mg

わかりやすく言うと、ヴィタミンA効力(カロテン)とミネラルが豊富な野菜である。お仲間にしてライバルのホウレンソウとくらべても、けっして遜色ないどころか、一部は勝っていたりする。「健康野菜」と言っちゃってもいいくらいである。ポイントはヴィタミンA(カロテン)が脂融性であること。つまり、油脂を上手につかうことで、ヴィタミンAの吸収が効率よくなるというわけ。

なによりバターやオリーヴオイルといった脂質との相性がバツグンにいい野菜である。脂質は「ダイエットの敵」なんて思われがちだが、必須脂肪酸というのはあるわけで、適度な油を上手く摂取したほうがいいに決まっているのである。

下茹でがちょっと手間だし、夏場、レストランの厨房は灼熱地獄みたいになるらしいから大変かもしれないが、それを補って余りある味、魅力をそなえた素材として自信をもっておすすめさせていただく。下茹でしたものを長時間放置すると色がわるくなることがあるが、これは空気に触れなければ大丈夫なはずなので、真空にかけておくか、タッパーで上手に保管すればオペレーション上もよろしいんではないかと。あと、必殺技、電子レンジという手もある。まぁ、あんまりあけっぴろげに電子レンジをつかうというのはイメージがあんまりよろしくないでしょうが…。いま流行りのIHのほうがよろしいかもしれません。

築地に行ってきましたが、写真をとる暇がなかったので

「最新情報」のページで告知させていただいたとおり、築地市場にてブレット(ビエトラ)の試食をおこないましたが、バタバタしてしまって、写真をとれませんでした。で、こちらにてご報告。

ブレット(ビエトラ)を4株3.6kg、下茹でしてバターでソテーしたものを試食していただきましたが、ほんの30分ほどで終了しちゃいました。もっとたくさんご用意できればよかったのですが…。東京シティ青果さんの厨房をお借りして早朝に調理したんですが、やっぱりはじめての厨房で、ひとりでの作業だとこれが限界で…。ちょっとは勝手がわかったので、次回はもうすこしたくさんのかたにご試食いただけるようにしたいと思います。

「BLOGみてるよ」とおっしゃってくださったお客さん(=八百屋さん)がたくさんいらして、なかなか嬉しいオドロキ。まことにありがとうございます。

ときどきムダに難解と非難されているBLOGですが、野菜のプロのかたがたにご覧いただいているなんて、なかなか身のひきしまる思いでございます。ってゆうか、こちらで把握している読者の方って、料理人さんと流通業者さんばっかり。なかなか濃ゆい、ディープなBLOGですな。

ま、ヘタなことは書けないというわけで、ストレス解消とばかりに言いたい放題、書きたい放題なのはちょっとマズかったかな…、という気もしないではないんですが、いちおう「最新情報」は営業用、こちらのBLOGはストレス解消用ということで、分けているつもりなんで、そのへんご理解いただけると幸いです。

試食の効果? そんなのすぐに結果はでませんがな。とりあえずちょっとは認知していただけたんじゃないかと期待はしていますが。

なにしろ、いつも扱ってくださっている仲卸さんのはなしでは、店頭に買いにいらっしゃる料理人さんでもブレット(ビエトラ)をご存知ないことが多いそうで…。

こりゃ長期戦ですな。ま、世間的には「新野菜」みたいなんで、そうそういきなりヒットというわけにもいかないでしょう。

試食が終ってから、ちょっと場内をみてまわったんですが、カラーのほうのチャード(まきもの屋では「マルチカラード・チャード」といっているヤツ)はけっこう入荷があるみたいですね。ただ、商品名がみーんな、てんでに好き勝手なものをつけているから、こりゃ市場のひとも大変だな、と。

なにしろ、「スイスチャード」「ビエトラ」「ピエトロ」「マルチカラード・チャード」…。サイズのちがいとかいろいろあるんですが、ようするに全部おんなじ野菜。商品名というのはまことに難しいところがありまして、まきもの屋の「マルチカラード・チャード」がヒットしてスタンダードになってくれたりなんかすると嬉しいんですがね。

ほかにも、国産のアーティチョークやらフェンネル、サヴォイなんかも入荷していたみたいです。パプリカもいろいろあって、イタリアで"corno di torno"(牛の角)といっているヤツも「ホルン」の商品名でありましたね。

で、のんびり東京見物なんてする余裕もなく午には群馬に帰ってまいりまして、本日発送分の「おまかせ西洋野菜セット」のパッキングのお手伝い。それにしても東京は暑かった…。

そんなわけで、ファーヴェの写真でございます

生食でおいしいのは、写真の下のほうふたつである。もっと若どりの小さいヤツでいいくらいである。いちばん上のはもうダメ。豆の皮がしっかりしちゃったら、加熱調理するにかぎる。比較対象が手しかないから、大きさじゃわかりにくいかもしれないが、実物でいうと、サヤを割ってみて、皮の白がまさっていたらアウトと思ったほうがいいだろう。

ちなみに、大きくなったのを茹でるとこんな感じ。ひとつだけ皮をむいてみたが、おわかりいただけるだろうか。透き通るような(比喩ですよ、ほんとうに透き通るわけじゃない)、鮮かな緑色である。日本のソラマメみたいな「ホクホク」とは対極。なめらかな口あたりである。これだって日本で一般的に流通しているソラマメとくらべたらかなり若どりである。

ファーヴェ=生で食べるソラマメというのは、たしかに有名だし、インパクトもあっていいんだが、「料理の素材」として考えたときは、やっぱりある程度は大きくなったものを加熱調理したほうがたのしい。なにしろたくさん食べられる。生食だと、それこそ1サヤをペコリーノあたりといっしょに食べて、もう満足というかんじである。経済的でいいんだが、生産者としては、たくさん、おいしく召しあがってもらいたいと思う。そのほうが料理人さんもウデの揮い甲斐があるってもんでしょう? それに、これだって日本のソラマメとはかなり違うおいしさなんだし。

「おはぐろ」ができちゃったら、もう完全にとり遅れ。こうなったら油で揚げるにかぎる。これはこれでとってもおいしい。もっとも、たんなる「お多福豆」になっちゃいますな。

ところで、イタリア系のソラマメは日本では「ファーヴェ」と複数形でよばれることが多い。まきもの屋は「ファーヴァ」と単数形で呼ぶのがクセになっている。いや、たいした問題ではない。食べ物としてみたとき、イタリア語は、フランス語のような「物質名詞」の概念がないから、けっこう複数形を多用するのである。品種カタログとか栽培資料だと、集合名詞的なイメージだろうか、単数形がけっこう用いられているので、こっちのほうがなじんでいるだけである。だから、ついつい「ファーヴァ」と言ったり書いたりしているが、商品名としては「ファーヴェ」のほうがいいのだろう。べつに「こだわっている」わけじゃない。

じゃあ、「チポロット」はどうなのか? とおたずねになる向きもあるかもしれない。べつに「チポロッティ」でいいのである。ただ、商品として白と赤を企画した時点で、チポロッティ(ビアンキ)(ロッシ)といってもあんまりよろしくないなぁ、「ビアンコ」「ロッソ」だとけっこうな数のひとがカタカナのままでもわかってくれるんじゃないだろうか、という考えがあったにすぎない。

かならずしも間違いってわけじゃないんでしょうけど…

「わかりにくい」「難しい」と定評のあるBLOGを書いていながらこんなことを言うのもナンだが、やっぱり事実関係はきっちりと明確にしておかないと、誤解が誤解をまねいてよろしくないんじゃないか。

とあるBLOGでみつけた「ファーヴェ」の記事。タダの「早生ソラマメ」じゃないんですか? 写真じゃそう見えるんだけど。そりゃ、ソラマメはイタリア語で"fava"(複数形 fave)だから、表記じたいは正しいんだが、あたかもイタリアもののような書きかたなのはいただけないでしょうな。

まぁ、写真でみるかぎりは、生食にはやや「とり遅れ気味」な印象なんだけど、そこがいちばん気になるのである。こりゃ生で食べてもあんまりおいしくないと思うんだなぁ。

ファーヴェを生のまま食べるには、収穫のタイミングがものすごくむずかしい。「豆粒がはっきりとわかるけれど、小さい」状態で収穫しなければならない。ごく「若どり」なわけだから、食べるところはほんのちょっぴりだと思っていただきたい。

そういえば、M社長が、どの農家もファーヴェは「とり遅れ」気味で出荷してくる傾向があるって言っていたなぁ。気持ちはわかるんだけどね。こういうのはキロ単価でやっているはずだから、豆を太らせたほうが有利なわけで。でもそれじゃぁ、おいしくないんですよ。

ファーヴェ、ようするにイタリア系のソラマメは豆がやや小型で、サヤが長く、多いものだと一本で8粒くらい入っている。日本の一寸ソラマメはせいぜい2〜3粒。サヤも太い。もっとも、イタリアでもサヤの短かい品種があるにはあるんだけど、そんなにポピュラーだったっけかなぁ。

はなしと戻すと、ファーヴェのBLOGはどこぞのイタリア料理店さんのもの。うーん、いろいろ考えさせられるなぁ。

料理人さんにもいろんな方がおられるからねぇ。フランス料理と謳いながらベトラーヴもブレットも使ったことのない料理人さんもいれば、畑にあるリーフレタス"Red Salad Bowl"を見て、「フランスの"feuille de chêne"?」とおっしゃるシェフもおられるわけなんだが、こういう方は少数派なんでしょうかね。ちなみに、"Red Salad Bowl"は、おっしゃる通り、まさしく"feuille de chêne"でございます。

写真をまったっく撮っていないので、後日載せることにするが、ファーヴェは生食のタイミングを過ぎたものでも、やっぱりやや「若どり」がいい。茹でたときに透き通るようなエメラルドグリーンになるくらいのものがいちばんおいしいと思う。これはペコリーノなんかなしに、そのままちょっと塩をふるだけで、ものすごくおいしい。生で食べて「ポリポリ」のなんて論外だと思うのだが、いかがだろうか?

プロジェクトP? それともミッション・(イン)ポッシブル?

日々、商品開発にも余念がない(!?)まきもの屋であるが、今回は取引先からいただいたプロポーザル。まるっきりの「新野菜」というのではなくて、これまでも自家用に細々とつくってきたものなんだが、果して「営利栽培」となったときに、作業体系にうまく組みこめるかという大問題がある。

しかも、「季節モノ」だから、いま畑にある「自家用」だけで今年はおしまい。ようするに来年のハナシなのである。葉茎菜なんかは1年のうちに何回か試作をくりかえせるんだが、そうはいかない。1年に1回だけのものだから頭のなかでシミュレーションをくりかえすしかないのである。

なにしろ基本的には準高冷地のレタス・キャベツの栽培体系をもとにしているから、それとまったくちがう作業がはいりこんだときに、どこまで効率よくこなしていけるか、机上の計算だけではうまくいかない。はっきり言って、やってみないとわからない。が、やってみて他の作目に影響がでるようではまずいのである。

うーん、すでにプロジェクトAもあるし…。時間のかかる宿題がたまっていくなぁ…。ほかにアイデアを練っている商品候補もあるし…。そんなにいろいろできるんだろうか? ちょっと弱気になってしまうのである。

Pとは何ぞや? って、いやいや、なんのことはない、基本的には"piselli freschi"のこと。品種と仕立てが決め手になるはず。ご同業諸氏も挑戦なさいますか? まぁ、ニッチな商品だろうから、大量にやっても火傷するだけでしょうが…。

サーバーのエラー?

これで2度目である。メールフォームから問いあわせをしたのにいっこうに返事がないとお叱りをうけてしまった。

まことに申しわけありません。

どちらのケースも、問いあわせメールが届いておりませんでした。届いていないものにお返事しようがないんで、どうかお赦しください。

言い訳じゃないんですが、メールチェックは毎日やっておりますし、見落としということはまず考えられないので(そんなにたくさんメールをいただいているわけじゃないんで…)、サーバーのエラーかなにかが原因でメールフォームからうまく送信されていなかったりするんじゃないかと思います。

サイトの運営も経営の一環なので、経費削減のために安ーいレンタルサーバーを使っているんで、そういうリスクはやっぱりあるんじゃないかと。もっとも、高いサーバーだからってエラーがまるっきりゼロになるわけじゃないと思うんですが。

そんなわけで、まことに恐縮ですが、3日たってもお返事申しあげない場合には、サーバーのエラーの可能性もありますので、お手数ですが再度お問いあわせ/ご注文くださいますようお願い申しあげる次第です。

まきもの屋のおすすめ商品

じぶんでも呆れるくらいいろいろな野菜をつくっていて、いまだと市場出荷はブレット(ビエトラ)、マルチカラード・チャード、ビーツ(キオッジャ)、ミニ・ポワロー、チポロット。産直ではこれにグリークバジル、ミニフェンネル、チコリア・カタローニャ、ルーコラ・セルヴァチカ、「ワラワラ」など西洋種のタマネギ、シブレットetc.を出荷している。

で、このなかで何がいちばん「おすすめ」かと問われたら、ミニ・ポワローは非常に高い評価をいただいており、自信作なんだが、どうにも高コストなので、安易に「おすすめ」しづらいところがある。ビーツ(キオッジャ)はとってもおいしいし、見た目もきれいでいいんだが、「割れ」がでやすいという栽培上の問題があるので、ヘタにおすすめして人気がでちゃうとそれはそれで困るので、あんまりおすすめしたくないのが本音である。

そんななかで、いちばんの「おすすめ」としてブレット(ビエトラ)を挙げたい。ヨーロッパではとってもポピュラーな野菜なのに、どういうわけか日本のフランス料理、イタリア料理ではあんまり使われていないみたいで、ぜひとも料理界にひろがってほしいもののひとつである。国内生産は少ないが、そのなかでもトップレベルの品質と(自称だけど)、自信をもっておすすめする商品である。

和名「ふだん草」だが、日本のものとはちがい、幅の広くて白い葉柄(軸)が特徴である。ヨーロッパでポピュラーなタイプである。USだと、まきもの屋の商品名「マルチカラード・チャード」のタイプが好まれるみたいで、こちらは葉柄(軸)はあんまり幅広にはなりにくい。セルリの葉柄(軸)みたいな感じになるのが多い。そういえば、USのタネ屋さんのカタログをみると、白の品種もあんまり幅広のものはないようである。

で、まきもの屋のブレット(ビエトラ)はイタリアの品種をもちいている。とくに味のいい品種をえらんでいる。そのぶん栽培もむずかしいんだが、できりゃいいってもんでもないので、とにかく味優先である。

日本の料理の本をみていると、よく「ホウレンソウで代用」するかたちで紹介されているんだが、はっきりいって日本の青果ででまわっている袋入りのホウレンソウとフランス・イタリアのホウレンソウは別物。品種も仕立ても収穫サイズもちがうのである。ヨーロッパのホウレンソウは大株で肉厚、香りも味もしっかりしているがそのぶんアクもつよい。だいたい、「クタクタ」になるまで火をとおすどころか、「ドロドロ」にしちゃうのである。ヨーロッパじゃないけど、ホウレンソウのカンヅメを食べてパワーアップする水兵さんのマンガだって、あの水兵さん、もともとホウレンソウは嫌いなんだよね。ようするに、かならずしも食べやすい味じゃないってことなのである。これにたいして日本で一般的に青果で流通しているものは下茹でなしでソテーしてもOKだし、生のままサラダにだってできる。これじゃ「代用」にならないんじゃないかとさえ思う。

BLOGであんまり値段のはなしはしたくないんだが、キロ単価で考えると、日本の青果で売られているホウレンソウよりもまきもの屋のブレット(ビエトラ)のほうがお安いんですよ。ボリュームたっぷり。ぜひともふんだんにお使いいただきたい野菜である。

ちなみに、栄養価だが、ホウレンソウとくらべてビタミン、ミネラルはほぼ同じか、モノによってはホウレンソウを上まわる栄養素もある。くわしくは文科省の『五訂増補日本食品標準成分表』の「野菜類」のページ(PDF)、ホウレンソウと「フダンソウ」の項目をご覧いただきたい。

だから「おもしろ野菜」じゃないんだってば

と声を大にして言いたいのだが、こちらも商売なんでそういうわけにもいかず、どうも世間的には「珍しい野菜」と受けとられがちなのがなんとももどかしい。そりゃ、ミニチャード、マルチカラード・チャードなんか見た目のおもしろさが大事なファクターだし、ビーツ(キオッジャ)だってどうしたってあのきれいなグルグルの年輪模様のインパクトがなかったらいまひとつなのを認めるにやぶさかではない。チポロット(ロッソ)やグリークバジルだって「かわいい(はあと」だもんねぇ。

たしかに、商品開発上、見た目のインパクトはけっこう大事である。が、それだけじゃぁない。 基本はあくまでも、イタリア・フランス標準なのである。だからブレット(ビエトラ)とかサヴォイなんかも、見た目はけっこう地味だし、かなり庶民的なイメージの野菜なんだが、だからこそ大事にしている。

まずさいしょに、イタリア・フランスの伝統野菜があって、そのうえで、いまのヨーロッパのガストロノミーの潮流や日本の料理界の傾向みたいなものをふまえて品種選定や仕立てを考えている。 これだけ知識と技術の粋をあつめて西洋野菜をつくっているんだから「珍しい」「おもしろ野菜」だなんて失礼だ! とはもちろん言えないんだが(本音は言いたいんだけどね)、「珍しい野菜」「おもしろ野菜」程度の認識じゃぁ、ほんとに使いこなせるんですかと尋ねたくもなるのである。

だって、「どうやって食べるの?」だもん。いや、イタリア料理を専門のひとがルタバガ(chou-navet)のことをご存知ないのは当然である。イタリアじゃ食べないんだから。フランス料理でも、ヌーヴェル・キュイジーヌ世代やその直系のお弟子さんの世代くらいだとご存知ないのも当然である。トピナンブールやサルシフィとともに「忘れられた野菜」だったから。あるいは、フランス料理人さんがチコリア・カタローニャを ご存知ないのも当然である。イタリアじゃものすごくポピュラーだけど、フランスではややマイナーだし、そもそもフランスでは"chicorée sauvage amère"は軟白するほうが普通なので、違う野菜といってもいいくらいなのである。

あるいは、シチリアあるいはローマ料理を得意となさっている料理人さんが"cicoria pan di zucchero"をお使いになったことがないとしても至極納得がいく。あれはフランスと北イタリアの野菜だから。

そりゃ、お尋ねいただければ知っている範囲でお答えします。それどころか、まきもの屋の商品には販促チラシもご用意していますし、「まきもの屋の自家用野菜セット」には野菜解説とレシピまでおつけしていますよ。商売なんですから。でも、誰にでもわかるような書きかたにはなっていないと思います。すくなくとも西洋料理を食べつけた方じゃないとわかりにくいでしょう。

このBLOGでも再三申しあげていることだが、イタリア料理、フランス料理は日本人にとってはあくまでも「異国の食文化」なのである。異文化なんだから、まずはきっちりと理解すること。それを模倣したり自分のものとして発展させるのは、本質をとらえてからでなければならない。まきもの屋の栽培している野菜を「珍しい」「おもしろ野菜」として捉えたがる方々は、そこのところをまるっきり無視なさっているんじゃないか。どう考えてもミスマッチなんだから、こちらとしては無理におすすめはしておりません。

フランス料理あるいはイタリア料理の看板を掲げていながら、ゴリゴリの生煮えサヤインゲンを自信たっぷりに出された日にゃ、「なんにもわかっていない、なんちゃってフランス料理(イタリア料理)じゃないか」と毒づきたくなるのである。だいたい、真冬にナスやズッキーニがでてきたらそれだけで悲しくなり、それがフランス料理あるいはイタリア料理なのに「千両」系のナスだったりしたら、テーブルをひっくりかえしたくなるのをじっとこらえるのである。

まぁ、こういうことをネットで書いちゃうんだから、どうにも「商売」に徹することができないんだが、それでもわかってくださる方はおられるわけで、そういう数すくない幸福な出会いを大切にしたいと思っている。いや、「おもしろ野菜」といわれようが、「珍しい野菜」といわれようが、お買いあげいただけることはまことにありがたいことです。このところのこのBLOG「最新情報」をご覧いただければおわかりのように、売る気満々です(笑。ただ、そういう方にはこちらから無理におすすめしていないというだけのことですので。

マルチカラード・チャードの下処理

マルチカラード・チャードはブレット(ビエトラ)と品種がちがうだけ、つまりは同じ野菜なので、じっくりと柔くなるまで火を通したほうがおいしくお召し上がりいただけます。ところが、通常の「下茹で」だと色素がお湯に流れだしてしまって、色がうすくなってしまうという問題があります。

マルチカラード・チャードの葉柄(軸)の色をより鮮かに、しかもおいしく召しあがっていただくための下処理は

  • 圧力鍋で蒸す
  • ラップでくるんで電子レンジ

いずれも葉と葉柄(軸)を分けて下処理するのが前提となります。葉は、まきもの屋の「ブレット(ビエトラ)」よりもややマイルドなので、そのままソテーしてもいいでしょう。これは品種のちがいによる特性の差です。

圧力鍋で蒸した場合。左が加熱前、右が加熱後です。圧力鍋はメーカーによって加圧時間が異なりますが、ラゴスティーナの場合、加圧2分〜2分半、火をとめたらすぐに減圧で、ちょっと歯応えをのこした仕上がりになります。。

電子レンジの場合。おなじく左が加熱前、右が加熱後です。メーカー、機種によって様々でしょうから、いろいろ工夫してみてください。ただし、皿に水をはっての加熱は、色素が流れだす可能性があるのでご注意ください。

個人的には圧力鍋をつかったほうがおいしくできるような気がしますが、これは電子レンジの扱いが苦手なためでしょう。自動モードでやりましたが、ちょっと堅い仕上がりになりました。

どちらの方法でも、色をかなりきれいに保ったまま柔く調理できます。下処理後に、バターやオリーブオイル、アンチョヴィなどでソテーしたり、ヴィネグレットであえるなどなさるとよいでしょう。ぜひ、まきもの屋のマルチカラード・チャードで華やかな彩りをお皿に添えてください。

まきもの屋のブレット(ビエトラ)もこのくらいの価格で売れたらいいのに…(笑

いや、おどろきました。ネット通販ででているビエトラのお値段。

http://shop.gnavi.co.jp/Mall2/1086/141275.html

はっきりいってスゴいです。スゴすぎます。産地は書いていないし、まきもの屋のは「ブレット(ビエトラ)」の商品名だからちがいますな。おそらく輸入なんでしょう。輸入だと植物検疫にひっかかったときのロスも見こんだ価格設定なんでしょうかね? まきもの屋のブレット(ビエトラ)は名目500g、実際には700〜800gくらいだから、目方で換算すると…!

もちろん、まきもの屋のブレット(ビエトラ)は、そんなにいただいておりません。市場では「相場」で価格がきまっているからいちがいには言えませんが、そんなにいただければ「ビエトラ御殿」が建ちますがな。現実にはものすごくリーズナブルなお値段で、はっきり言って、まったく儲かりません。なんだか不当に買い叩かれているような気がしてきた…(笑。

上記の業者さん、ほかの野菜もけっこうなお値段です。これにくらべたら「まきもの屋の自家用野菜セット」なんてかわいいもんです。しかも野菜解説とレシピ付き! もっとも、こちらは「セット」だから内容は選べませんが。

というわけで、比較広告みたいになっちゃいましたが、とってもお得な「まきもの屋の自家用野菜セット」、オーダーお待ちしております。あ、もちろんブレット(ビエトラ)もお入れできますので。

タマネギと鶏内蔵の炒め煮

このところタマネギばかり大量に食べている。というのも、抽苔株(ようするに葱坊主がでてしまったもの)は急がないと食べ物でなくなっちゃうからである。というか、すでに葱坊主がでているので、大量処分ということで、タマネギをたくさんつかう料理である。

元ネタはむかしの本、『人気のイタリアン』世界文化社、1995、45ページの「内蔵と玉ねぎの炒め煮」である。本のリチェッタだと鶏の内蔵500gにたいしてタマネギ3ヶなんてあるが、そんなもんじゃとてもとても…少なすぎる。2kg以上はつかった。

この料理、けっこう好きで以前からよく作るんだが、毎回リチェッタを読まずにうろ覚えでやるから、すっかり独自ルールで似て非なるものになってしまった。でも、大量のタマネギを弱火でじっくりじっくり炒めて、もとの10分の1以下まで縮めちゃうんだから、シンプルな料理のわりに、つくるのはなかなか大変なのである。まぁ、これを作ると家人もご機嫌になるからいいか…。

「ムッシュ」は五月蝿い?

たまには語学ネタでも。フランス語の"monsieur"をカタカナにすると「ムッシュ」になると思うんだが、どうもこれを見て、"mouche"(ムーシュ、「蠅」)のほうを思いうかべてしまうのである。セーヌ川の遊覧船として有名な"bateau mouche"というのがあるが、どうしてそういう名前なのかは忘れた。

いやいや、フランス語の"monsieur"をカタカナにするのはどだい不可能なのである。そもそも日本人は"s"の音をうまく言えなかったりするんだから(1)。それに、「ブッシュ・ド・ノエル」ほど致命的なもんじゃない。あれは、"bûche de Noël"(ビュッシュ・ド・ノエル)が"bouche"(ブッシュ=「口」)に思えちゃってどうも具合のわるい表記である。手をつっこんだら抜けなくなっちゃうんじゃないか…ってそれはローマじゃないか。

いやいや、"baguette"(バゲット=いわゆるフランスパン)のことを「バット」と書かれた日にゃ、英語でいうところの"bucket"(バケツ、トラクタやホイールローダーにつけるアタッチメントにも「バケット」はあるが)を思いだしちゃって、どうにも気分がわるいが、それにくらべりゃかわいいもんである。

かんけいないが、「ハンカチ」のことを"mouchoir"(ムショワール)、「ティッシュペーパー」のことを"mouchoir à papier"(ムショワール・ア・パピエ)という。 これは"moucher"(ムシェ=「洟をかむ」)という動詞からきている。「蠅」とはかんけいない。つまり、ハンカチというのは洟をかむものなのである。ハンカチで汗をぬぐったりということを日本ではよくするが、フランスだと奇異の目でみられるというのがフランス語教育業界での通説であった(ほんとうにそうなのかは、実際にフランスでやったことがないので知らない)。

あ、ついでに、"mouchoir à papier"は日常的には"kleenex"(クリネックス)と言う。いわゆる「セロテープ」がフランスでは"scotch"なのとおなじである。日本だと「ボンド」とか、「サランラップ」とか、「マルチカラード・チャード」とか「チポロット(ロッソ)」などとおなじである(笑。

  • 注1) いや、まるっきりダメなわけじゃなくて、「スーダラ節」の「スイスイ、スーダラダッタ、スラスラスイスイスイ」の「ス」の音なんかは見事にフランス語の"s"の音とおなじである。