ふたたび意味不明のタイトルでございます。いちおう解説申しあげますと、バルザックの小説の題名を無理矢理カタカナにしてみました。「ボール遊びをする猫の店」くらいの意味です。
いつも子音の[t]や[d]単独のときのカタカナ表記は困るんですが、"de"[d]を「ド」と書くのが慣例になっておりますから、「ト」にしちゃいました。ついでに云うと、フランス語に「促音」(ちいさい「っ」はないんですが、「ト」との関係であったほうがいいかなとこれも強引に入れております。
が、本日のお題はそういうことじゃなく、「めぞん」でございます。なんか、あるBLOGでお呼びがかかったような気もするんですが、きっと気のせいでしょうから、じぶんのフィールドでやらせていただきます。ところで、むかーし、この語をタイトルに入れたマンガがございましたなぁ。このマンガの大ファンというフランス人の青年に複数会ったことがあります。
それはともかく、"maison"(メゾン)、「家」のことですが、このタイトルにひいたように「店」の意味でもつかうことがあります。日本語とおんなじですな。ペコちゃんのメーカーさんなんかそうですよね。ついでながら、まきもの屋の「屋」も「家屋」というくらいですから、もともとは「店」の意味じゃありませんが、そういうふうに使っていますよね。
フランス語のほうでは、"maison de jeux"(メゾン・ド・ジュ=賭博場)とか"maison de commerce"(メゾン・ド・コメルス=商家、商店)といった一般的な表現もあります。
で、日本ではよくガストロノミックなレストランのことを「グランメゾン」と言うようで、以前もある料理人さんと話題になったこともあるんですが、フランス語でもそういうのか? これは「和製フランス語」なのか? 正直に申しあげますと、わかりません、というか知りません。だって、フツーに"restaurant gastronomique"
(レストラン・ガストロノミック)って言いますから。
だから、"grande maison"(グランド・メゾン)(maisonは女性名詞なのでgrandeと女性形になります)とか、"grand-maison"(グランメゾン)といった表現はもしかしたら見聞きしたこともあるかもしれませんが、まったくといっていいほど意識したことがなかったんですよね。だから知らんのです。自分の体験において見たり聞いたりしたことのないものを、「存在しない」と断言できません。知らないものは知らないんです。まぁ、言うとしてもフシギじゃないんですよね。
いま、「グランド・メゾン」と「グランメゾン」、2種類の表記を書きました。これ、理屈の上ではどっちもフランス語として「あり得る」んですよね。"grande maison"(グランド・メゾン)のほうは上で説明したとおりです。女性名詞に形容詞をつけるときは女性形にします。
が、"grand"はそのままのかたちで名詞とむすびつくことがありまして、その場合は一単語になるわけですが、"grand-mère"(グランメール=祖母)、"grand-rue"(グランリュ=中央通り)、そのほか"grand-peur, grand-soif, grand-chose..."いろいろとございます。ここの挙げた例はみんな女性名詞なんです。ハイフン(-、トレデュニオンといいますが)じゃなくて ' でつなぐこともあります。だから"grand-maison"(グランメゾン)という表現があってもフシギじゃないと思います。手元の辞書にはでておりませんが。
しつこいようですが、これはあくまでも「推測」です。だって知らないんですから。知らんモンは知らんのです。フランスで暮らしたことがあるとはいえ、当時はいまのように四六時中食べもののことばかり考えていたわけじゃないですし、ガストロノミーとはまったく無縁でしたから。
カタカナ表記の「グランメゾン」についてはよくわかりませんが、"grande"のさいごの子音[d]を書いていないのが、[r]の音をカタカナ表記の際に書かないことがあるのと同様かもしれません。聞こえにくい音だから聞こえたまんまに表記しちゃうという方式ですね。それはそれでひとつのやりかたですんで。
ある表現が「決定的に間違っている」というのはそうそうあるはなしじゃございません。ただ、こうはあんまり言わないでしょう、こっちの言いかたのほうがフツーですね、というのはけっこうあります。
まきもの屋の商品名ミニ・ポワローですが、日本の市場名はポアロジュンヌあるいはポワロジューヌなんですよね。フランス語で"poireau jeune"とやってもかならずしも「決定的な間違い」じゃない。でもあんまり言わないと思うんですよね。"jeune poireau"あるいは"poireau crayon"のほうがフツーだと思います。フランスからの輸入モノの商品名"Mini-poireau"みたいなのもアリですが。ちなみに"oignon nouveau"(オニョン・ヌーヴォー=日本だと「オニオン・ヌーボー」と言われています)はフツーにアリですね。
まぁ、「グランド・メゾン」でも「グランメゾン」でもいいんじゃないでしょうかね。ただ、語の意味からすると、"restaurant gastronomique"(レストラン・ガストロノミック)のほうがフツーの表現という気がします。それだけのことですんで。
N.B. ここで書いた"grand-maison"説は却下となりました。フランス語としては"grande maison"が正しいということです。"grand-maison"はまきもの屋の脳内世界で繰りひろげられた珍説にすぎません。ある方が、スマートに、さりげなく典拠をお示しくださいました。この場を借りて感謝申しあげます。
間違いを書いたわけですから、このエントリはいっそ消しちゃいたいくらいなんですが、あえて残しておきます。珍説もまた面白いんじゃないか、ということでご容赦ください。