ユルバン・デュボワの「ロワイヤル」
22. --- ROYALE.
Préparez une purée de volailles comme il est indiqué à l'arcicle précédent, en remplaçant la sauce suprême par de la bonne crème, ajoutez sel, muscade, une pincée de sucre, et pochez de même. (La cuisine classique, p.26.).
前項で示したと同様にヴォライユのピュレを用意するが、ソース・シュプレームを良質の生クリームで置きかえる。塩、ナツメグ、砂糖1つまみを加え、同様にポシェする。
困りますね。「前項」をみないことにはこれじゃぁ何だかさっぱりわかりません。というわけで、
21. --- SÉVIGNÉ.
Enlevez les chairs blanches de deux poulets; si elles sont crues, faites-les raidir au beurre, puis piler; si elles sont cuites, parez et pilez-les également, délayez-les ensuite avec 3 décilitres à peu près de sauce suprême claire, et faites passer au tamis; assaisonnez d'une pointe de sucre et muscade, incorporez 10 à 12 jaunes d'oeufs et faites passer à travers l'étamine; beurrez une douzaine de moules à darioles, emplissez-les avec cet appareil et placez-les dans un sautoir avec de l'eau bouillante jusqu'à moitié de leur hauteur; placez le sautoir sur le feu pour amener l'eau à l'ébullition, puis couvrez et poussez à four modéré. Au bout de 12 à 15 minutes, l'appareil sera raffermi; retirez le sautoir du feu et laissez refroidir; parez ensuite les parties supérieures trop séchées par l'action du feu, coupez-les transversalement en trois parties, et placez-les dans la soupière pour verser le consommé dessus. Cette garniture s'applique également aux consommés et aux potages liés. On peur cuire cet appareil dans de petits moules plats, unis ou cannelés; on peut encore le cuire dans un moule à charlotte, foncé de papier, pour le couper ensuite en gros dés. Les moules à darioles peuvent se laisser entiers. (La cuisine classique, pp.25-26.)
鶏2羽のササミを取りだす。生であれば、バターでレディール(1)したのち、摺りつぶす。加熱済みであれば、掃除をして同様に摺りつぶす。薄いソース・シュプレーム約3dlでのばし、タミ(2)でパッセする。砂糖とナツメグ各1つまみでアセゾネし、卵黄10〜12を混ぜ、漉し布でパッセする。ダリオル型12にバターを塗り、アパレイユを入れる。ソトワールに並べ、半分くらいの高さまで湯を注ぐ。ソトワールを火にかけて沸騰させ、低めの温度のオーブンに入れる(3))。12〜15分後、アパレイユが固まったら、火からはずして冷ます。つぎに、火にあたって乾きすぎた上部を掃除し、水平に3つに切る。これをスピエールに入れ、上からコンソメを注ぐ。この浮き実(ガルニチュール)はコンソメにもトロミのあるポタージュにも利用できる。このアパレイユに火を通すのに、平たい、プレーンあるいは溝のついた型を用いてもよい。また、紙を敷いたシャルロット型を用いて火を通し、大きめのデに切ってもよい。ダリオル型であれば完璧である(4)。
はっきり言ってかなり難しいです。19世紀半ばのフランスの調理現場を具体的にイメージできないと訳しづらいところがありますね。フランス料理史は専門じゃないので、自信のないところには注をつけておきました。
さて、ここから読みとれること。すくなくともデュボワでは、ロワイヤルはセヴィニエという浮き実の派生型のあつかいだということですね。玉子をつかい、ポシェして固めるという点では Le guide culinaire と同じですけど、ソース・シュプレームあるいは生クリームを使っている。前回のエントリで訳した「ポワローのロワイヤル」と似ていますね。というか、Le guide culinaire にでてくる"royale de volaille"とほぼ同じものですね。じつは Le guide culinaire でも、ベシャメルを使うパターンのほうが多いんですよね。なので、「一般的なロワイヤル」といっているのは、かならずしも「基本パターン」ではない、ということになりますかね。
それにしても、ひとつのルセットを理解するのに、複数のルセットを読まなければならないってのは Le guide culinaire でもけっこうでてきますね。通読しているぶんにはいいんですが、ちょっとひとつだけ調べるってわけにはいかない。ひとつ調べたら「○○を△△に置きかえただけ」みたいなことが書いてあって、芋蔓式にいくつか読まなきゃならない羽目になっちゃうんですね。ひどいときはかなりページが飛んでたりする。ワタシはたんに面白がって読んでるだけなんでいいんですが、現場でやっておられる料理人さんはイラっとくるかもしれませんな。そういう意味では、所詮は昔の文献、現代ではあんまり実用的じゃないってことですかねぇ。
訳がけっこう大変だったので、このネタはこれでおしまい。ちょっとヘタレました(笑。
- 注1) 原義は、焼き色がつかないように低温で表面を焼き固めること。このルセットではほぼ火を通しきっていいようにも読めますね。でも、いいですか、焼き色をつけちゃいけません。Le Grand Larousse gastronomiqueにも、Le guide culinaireにも、"raidir"は「焼き色をつけない」とはっきり書いてあります。
- 注2) 「篩」のことですが、いまならシノワを使うところでしょうね。[補足:この注は間違い。下のコメント参照]
- 注3) 原文"poussez à four modéré"をどう解釈するか問題。ここではオーブンの中に入れるとしたが、調理用ストーブの火の弱いところに置く、という意味に解することも不可能ではない。ただし、その場合は"four"ではなく"feu"が自然か。
- 注4) 最後の一文は自信がありません。大きな辞書を引かないと…




