有機ぢゃないよ、特別栽培でもないよ
この話題は何度もBLOGで書いたので、まきもの屋当人としては食傷気味なんだが、やっぱり折にふれて書いたほうがいいんでしょうな。
むずかしく言えばキリがないんだけど、ようするに、日本という国においては、「農薬取締法」というのがあって、もうひとつ「肥料取締法」「地力増進法」という法律もありまして、そういうのはきちんと守っております。野菜の使い手、食べ手のみなさんがいちばん気になさる農薬ですが、農薬取締法にもとづいて「登録」という制度がありまして、○○という農薬はこの野菜には△回、収穫×日前までつかっていいですよ、なんてことがこと細かに規定されております。
ここまでが農林水産省の管轄。商品としての食べ物については厚生労働省の管轄で、「食品残留基準」というのがやっぱりこと細かく定められておりまして、○○という農薬は△△という野菜では××ppmまで残留していてもOKなんていうリストになっております。いわゆるポジティブリストというやつです。
後者については、現実的には前者つまり農薬取締法をきちんと守っていれば理屈のうえではまるっきり意識する必要がありません。ひっくりかえして言うと、農薬の袋とかビンにはすっごく小さい字でいろいろと注意書きと「登録」の表が印刷されているんで、それをしっかり読んで、用法、用量をただしくつかえばいいわけなんです。
ここまではわかりやすいですよね。ところが、「有機JAS」とか「特別栽培」なんて別の基準がございまして、これが問題をやっかいにしてくれちゃうんです。ダブルスタンダードなんて言いかたがありますが、これにかんしちゃトリプルスタンダードです。農薬の使用にかんしては、農薬取締法→特別栽培→有機JASの順で「大ざっぱに」いうと少なくなるというか、制限がきびしくなりますが、生産者サイドの視点でも、理屈から言ってもいろいろと問題があるわけでして、「事件は現場で起きているんだ!」と言いたくもなりますね。
ほんとうにかんたんに言って、まきもの屋の野菜というのは、「有機」でもなければ「特別栽培」でもありません。どちらの表示も不可能ではないけれど、その表示をするためのコストが大きすぎるという現実がありまして、いまのところ興味がございません。じゃあ何なの?って、フツーの野菜なんです。ミニ・ポワローはミニ・ポワローであって、「有機ミニ・ポワロー」でも「特別栽培ミニ・ポワロー」でもありません。それで充分だと考えております。
だって、はっきり申しあげて、まきもの屋のミニ・ポワローと同等のものを栽培できる生産者って国内にどれだけいらっしゃるんでしょうか? じっさいのところ、栽培方法は「ヒ ミ ツ」です。ただ、農薬の使用にかんしては、農薬取締法を遵守していることだけは確かです。規定をはるかに下回る使用なのも事実ですが、いちいちそんなこと申しあげる必要がないくらい、自信作なんです。
そりゃ、「栽培履歴」を必要でしたら、情報開示はしなければなりません。よろこんで情報開示させていただきます。ただ、それにもコストはかかるわけですので、相応の追加料金はいただくことにしています。また、その情報じたいはbrutなものですから、○月×日堆肥1500kg(N18kg,P21kg,K15kg)散布、△日定植、××日防除(イミダクロプリド、10000 倍、150ℓ/10a、×△日フルベンジアミド2000倍100ℓ/10a)…なんてのを見て、どれだけの方が理解してくださるんでしょうか?…。無理ですよね。
で、ダブル、トリプルスタンダードの「有機」「特別栽培」の出番なんですが、こういう制度って、いわゆる「一般野菜」を念頭においたものですから(農薬取締法の規定もそうなんですけどね)、まきもの屋がやっているようなマイナーな野菜だとかならずしもあてはまらないんです。もちろん「解釈」の問題でクリアできるのもありまして、そういうのは農水省がリストアップしてくれているんですが、ぜんぶじゃないんですよ。
つまり、マイナー品目については「有機」「特別栽培」っていう表示は不可能じゃないけど、現実にはとっても大変なことで、そんなことをするビジネス上のメリットなんてとてもじゃないけど見いだせないんです。だって、いまの時期(9月下旬〜10月)にミニ・ビーツ(キオッジャ)を出荷できる農家が日本にどれだけいると思いますか? デトロイトのミニ・ビーツじゃないですよ。キオッジャだとほんとうに数えるほどです。商売としてはそれで充分に成りたつんですから、法をまもってさえいれば、その屋上屋を架したような「有機」「特別栽培」なんていらんのです。
まきもの屋がめざすのは「高品質のおいしい、ホンモノの西洋野菜」です。それで充分じゃないですか。たとえ実態として有機にちかかろうが、農薬の使用頻度や種類が少なかろうが、そんなこといちいち大声で喧伝するつもりはありません。法律まもってるだけなんですから。
いやぁ、もぅ、面倒ですから、「有機」とか「特別栽培」とか「無農薬」なんておっしゃる方は、ほかの農家さんをさがしてください。まきもの屋の野菜は「有機」でも「特別栽培」でも「無農薬」でもございません。この話題、食傷気味どころか苦痛なんです。
ちなみに、築地の卸売場では、まきもの屋の野菜は「有機こだわり農産物コーナー」通称「こだわりコーナー」での扱いとなっておりますが、「有機」じゃなくて「こだわり」に力点があるとお考えくださいな。三浦の「ピエトロ」とか茨城の「ホルン」、宮城の「プンタ」なんかもそちらの扱いですが、みなさんがかならずしも有機JASの認証をとっておられないと記憶しております。「特栽」の表示はいろいろ微妙なところがあるんで言及をひかえさせていただきますが。