Mon petit chou
どうも知識のひけらかしモードがとまらないまきもの屋である。これじゃ農家のBLOGらしくないことはわかっているが、どうせそれほど世間の耳目をあつめているとは思えないし、よそさまに迷惑をかけるわけでもないので、好き放題に暴走させていただく。
さて、今日のお題はフランス語やイタリア語でのキャベツにまつわる表現である。まずは題名の"mon petit chou"、直訳すると「私のかわいいキャベツちゃん」である。一般的には男が親密な関係の女に言うらしい。古い言いまわしだから、いまどきはまったく使わないかもしれない。なにしろ、まきもの屋はフランス語でそういうことを言う必要があったためしがないから、よくわからないのである。
どうもこの"chou"には、あんまりいい語感はないのも事実である。"Il est bête comme chou"というと、「あいつはおバカだ」という意味。"chou"という単語それじたいに「バカ」「頭がわるい」「単純」「ガキっぽい」といったニュアンス(正式にはコノテーションというが)がある。これは、イタリア語でも似たようなかんじで、"Non capisco un cavolo"(さっぱりわかんない)、"testa di cavolo"(バカ)、" Non me ne importa un cavolo"(そんなことはどうでもいい)、などの表現がある。こういうのは、辞書をひくとかんたんにわかるのである。なにもまきもの屋が知識を誇っているわけではない。ところで、キャベツの結球それじたいをフランス語で"tête"、イタリア語で"testa"というが、これは「頭」という意味である。みために「頭わるそう」といえばそんなかんじもしなくはない。
たしかに、キャベツというのは、レタスとちがって、植えればかならずといっていいほど、ただしいかたちで結球する。レタスでうつくしい結球を確実に得ようとすると けっこうな技術がひつようなのだが、キャベツではそういうことはないのである。キャベツのむずかしさは、味をよくすること、大きさをそろえること、病虫害を防除すること、に尽きるといっていいだろう。なにしろ、とんでもなくムシを呼ぶ野菜なのである。そしてキャベツじたいはムシにたいしてほとんど無防備なのである。そういう点でも、なんだかボケタンとした印象はある。
とはいえ、家庭料理には欠かせない、日常の食材のなかの王様みたいな野菜である。バカっぽいかんじはあるけれど、"mon petit chou"といって、かわいがってほしいものである。




