有機、無農薬の表示について農水省、厚労省、経産省あたりが足並みを揃えるべき
タテ割り行政の弊害ってヤツでしょうな。農産物に「有機」「無農薬」「減農薬」といった表示をすることは、農林水産省が管轄している分野ではそこそこ規制が徹底されているんですよ。つまり、野菜とか米とか、農産物そのものあるいはその加工品のレヴェルです。
外食産業なんかですと、「有機」「無農薬」の表示は根拠なしに「やりたい放題」です。これを規制する法律はおろか法令も通達も存在を聞いたことがありません。あるんですかね、ホントは? ないとオカシイと思うんですよ。飲食店の「食品偽装」とかって大問題になるじゃないですか?
だいたい、「無農薬」という表示は農水省の「特別栽培農産物ガイドライン」で「望ましくない」とされておりまして、事実上は禁止と考えたほうがいいものなんですよ。「有機」についてはいわゆるJAS法という法律とその事実上の運用基準である「有機農産物のJAS規格」にもとづいて第三者機関による「認証」を得て、それをただしく表示したものだけが認められるんです。違反するとペナルティがあります。
ところが抜け道というんですか、やっぱりこれ「ザル法」みたいなところがありまして、生産者が「有機農業を営んでいる」とか「無農薬栽培に取り組んでいる」と表現することは可能なんです。有機JAS規格にしろ特別栽培ガイドラインにしろ農産物そのものにどういう表示をつけるかというところしか問題にしていないからなんです。
あまり知られていないことなんですけど、特別栽培ガイドラインは農水省の「通達」なんで、遵守する法的義務はありません。が、事実上は指導がはいっちゃうらしいです。よくわかんないのは、いろんな「認証団体」というNPO法人やら株式会社やらがけっこうな数ありまして、そういうところが「特別栽培」の「認証」ってのを有料でやっとります。
で、この「特別栽培」の「認証」をやっている団体ってのはようするに有機JASの認証を請け負っているところなんですよね。どうです? なんか香ばしいでしょ?
ちなみに、有機JASってのは膨大な書類作成と、その認証機関に支払うべき手数料といいますか、そういう経費がものすごいです。日本でそこそこ古くから有機農業にとりくんでおられる方々のなかには、有機JASの認証をとっておられないところも多い。
これが問題をややこしくしちゃってるんですよね。有機農業界の大御所がスルーしちゃってるもんだから、なくてもOKということになります。そりゃ、農産物の「表示」の問題だけですから、実務的にはそれでいいんです。が、有機農業界の大御所つまりは名の知れた有機栽培農家が生産したものであれば、やっぱり「有機」だと思いますよね、とくにお客さんは。
おわかりいただけるでしょうか? ようするに制度的に問題がいっぱいありまして、どうせ規制するんだったら作り手から食べ手までのあいだ全部をきっちりコントロールすべきなんですよね。そのへんがお役所仕事のせいでしょうか、うまくいっていないんです。
このBLOGをお読みくださっている方の多くは流通、飲食関係者、(あと生産者もいるんでしょうね、あんまりうれしくないんだけど)だと思いますんで、もういちど有機とか特栽といった表示問題についてはどういうスタンスでおつきあいなさるか再考なさることをおすすめします。とくに、飲食店さんは安易に「有機」「無農薬」という表記をつかっていいのか、法律上の問題ではなく、商倫理というかモラルの問題としてお考えいただけたらと思うんですがいかがでしょう? それに、いまどきは飲食店で「有機」「無農薬」って謳うのもかなりベタな印象があるんですけど…。