西洋野菜のプロの使い手をさがしています
タイトルを変えて、一部書きなおした。
イタリア料理、フランス料理が好きで、西洋野菜を栽培し、一部は出荷もしている。なにも無節操に、「オシャレだから」とか 高値で取引されるかもしれない、などという理由からではない。商売にするからには、売り手(=八百屋さん)と使い手(=料理人諸氏)に 訴求力のある商品をつくらなくてはならない。いうまでもなく、売り手と使い手のむこうがわに、食べるひとがいるわけだが、なかなか そこまでは意識がいかないもの正直なところである。すくなくとも料理人諸氏はお客さんの反応をよくみているだろうし、八百屋さんは 料理人諸氏の要求をよく知っているわけだから、それを集約すればいいわけである。ただ、こういうやりかたでマーケティングがうまくいくには、 それぞれがターゲットをうまく絞り込んでいるひつようがある。漫然と「すべてのひとに満足してもらえる」料理やサーヴィスというのは ないだろうし、ましてやその材料である野菜なんて、そんなことをいったら農水省の指定している主要品目でこと足りるはずである。
どうしてもこの野菜でなくてはならない、という料理がある。「オレッキエッテ・アラ・プリエーゼ」なんかそうである。 "Cime di rapa"を菜の花や「スティックブロッコリ」で代用するなんてほんとうにかなしいことだ。 いろいろ差し障りがあるから、これまで書いてこなかったが、正直いって、ポワロのかわりに根深ネギをつかうのだって個人的にはうれしくない。 それが皿のうえにかたちとしてあらわれない、「ダシ」であればなおさらのことである。ブーケガルニやミルポワに根深ネギをつかえば、わかるひとにはわかるんじゃないか。もちろん、かんたんにわかるようでは失格である。技巧をこらしたものであれば ポワロでないことを見抜くのは容易ではない。
料理人諸氏が根深ネギをつかうとすれば、それはたんに価格のもんだいであろう。ポワロが高価だから根深ネギで代用するのである。 じっさい、業販であっても、あきれるほど高い。それもそのはず、軟白部××cm以上、重さ△△g以上(具体的には書きたくない事情があるので勘弁ねがいたい)、という規格というか不文律があって、 それを満さないものは二束三文になってしまう。だから、ポワロの生産者はそういう良品だけを出荷することを目指す。もちろんそれはそれで ただしい。それでもなかなか輸入品との勝負となると勝てないのが現状である。
じっさいのところ、ポワロなんてものはそもそも「ダシ」をとるための野菜としてかんがえれば、「高級野菜」であることじたいが おかしいのだ。が、生産者としては、二束三文もこまるのである。品質相応の価格がつけばいいのだが、なかなかうまくいっていないようである。
ひるがえって、まきもの屋が栽培している西洋野菜というのは、イタリア、フランスではごく日常的な、家庭料理でつかわれるようなものがおおい。 サヴォイにしてもビエートラにしても、「高級レストラン」でつかうというのがいまひとつ想像できない、ほんとうに庶民的な野菜である。 そういうものを大切にしたい。イタリア料理もフランス料理も異国の食文化だけど、だからこそ、その根っこのところというのをきちんと おさえておきたいものである。そういう庶民的というか、伝統的、基本的な野菜というのはたくさんあって、西洋野菜の看板をかかげるまきもの屋としては それこそが領分だと思っている。だから、フィコイド・グラシアルとかプチヴェールみたいな「新野菜」には興味がないのである。
まずは基本をしっかりとおさえることである。もちろん異国のものを生産するわけだから、技術もひつようだし、コストが高くなることはしかたがない。 それはきちんと価格に反映されなくてはこまる。というか、そうでなければ正直いって生産意欲がでない。ビジネスとして成りたたないなら「自家用」にほそぼそと栽培すれば いいことなのである。ただ、これは昨今の、野菜全般の安値のもんだいともかかわるから、機をあらためたい。
ふつうのタマネギの抽苔株をわかどりした「オニオン・ヌーボー」なんかじゃなくてほんものの"oignon blanc"をつかってほしい。 黄色いサヤインゲンなんかあたりまえであってほしい。シ○○○○ルージュなんて新品種のトマトよりもまずは"principe borghese" をつかってほしい。「桃太郎」や「麗夏」よりは、"beefsteak"や"marmande"をつかってもらえるようにしたい。ホウレンソウは葉柄部をつかわない大株の"Viroflay"とか"bloomsdale"あたりを基本にしてほしい。ついでにいうと、ホウレンソウの株元というか根元まで皿にのせるのはあくまでも「変化球」にしてほしい。野菜なんてしょせんは添えものだけど、だからこそ基本というか、イタリア・フランスのスタンダードをたいせつにしたいものである。
ほんとうに西洋野菜のことをよく知っている生産者というのはそんなにたくさんはいないはずである。かくいうまきもの屋もまだまだ勉強がたりない。それにくわえて、サヴォイやビエートラでよくわかったのだが、じぶんの理解していた野菜の位置づけと料理の世界でのそれにややズレがあるみたいだ。そんなわけで、こんな農家の考えに共感してくれる料理人さんがもしいらっしゃるようなら、一緒に仕事してみませんか。 さいしょに書いた「マーケティング」なんてことばがなんだったんだろうというくらい素朴な呼びかけだけど、 コルニションくらい既製品ではなくじぶんで漬けこんでお客さんに提供したいとお思いのかたはぜひご連絡ください。
