ビーツ(キオッジャ)の塩竈焼き
アラン・パサールのスペシアリテとして有名だが、ビーツさえいいものであれば、誰でもおいしくつくれる。たぶん、いまのところ日本のレストランでは滅多にお目にかかれないはずである。意地悪な言いかたをすれば、これだけシンプルな「素材勝負」の料理を、店でだす度胸があるかということだろうか? 「焼きっぱなしの肉」で勝負? というのとおなじことである。
塩竈焼きとはいっても、卵白で塩をかためたりしない。ただ塩の山のなかにビーツを埋めて焼くだけである。この方法だと大量に塩をつかうことになる。というわけで、ちょうどビーツ(キオッジャ)を入れてちょっと隙間のあく大きさのスフレ型があったから、これに塩をしいてからビーツを入れ、隙間に塩をつめて焼く。180℃のオーヴンで、めやすはビーツ500gあたり1時間ということだ。まきもの屋のビーツ(キオッジャ)はせいぜいが200〜400gだから、ちょっと短めになる。
塩にローズマリーを混ぜこんだりもするようだが、ビーツ(キオッジャ)のばあいはあんまりクセがないから省略してもじゅうぶんにおいしい。上質のバルサミコをたらすといいらしいんだが、そんな高価なものはないので、これも省略である。
とってもおいしいが、最大の欠点は、これだけでかなりのボリュームになるということか。レストランで出すとするなら、お二人様お取り分けで、200gくらいのものなら適量だろうか。まわりにミニチャードかベビーのデトロイトなんか飾ってやるといいかもしれない。ただ、ちょっと時間がかかる料理だから、食事の流れを考えるとレストランの料理としてはやっぱりむずかしいかもしれない。1時間もかかると、せっかちなお客さんはデセールまでたどりついちゃうだろうから、前菜の位置づけだとどうにもならないかも。レストランの料理にならないのは、ほんとうのところこういう理由からだと思う。
ちなみに、例の年輪模様だが、こんな感じである。ただ、これはビーツ(キオッジャ)の個体差によるところもあるので、いつもおなじとはかぎらない。それと、今回は200gで40分の加熱だったが、中心のほうはやや歯応えがのこる仕上り。もっとやわらかくしたほうがおいしいと思う。
