和食と西洋野菜

イタリア料理、フランス料理でお使いいただくことを念頭に西洋野菜を栽培しているが、ある和食屋さんで7月の「お通し」にまきもの屋のブレット(ビエトラ)をご採用いただけるかも、というはなしがあったり、べつの和食屋さんでホタテの刺身にビーツ(キオッジャ)の薄切り(生)が添えてある写真をWEBでみつけたり…。まことにありがとうございます。

存外、和食の世界のほうが食材にたいしてはアグレッシヴなのかなぁと思ったりもする。いや、フランス料理なんかも本国ではミズナや和ネギみたいな日本の野菜が流行だったりするから、ちょうどそれと逆のことなんだろう。むずかしいのは、日本のフランス料理となると、そういうフランスでの流れみたいなものの「表層」だけをとり入れちゃったりすること。そりゃ日本だもの、和の野菜はたくさんありますがな。で、見た目だけはフランスの一流シェフの料理とそっくりなのができちゃったりする。

でもねぇ、フランスでフランス料理に和の食材をとり入れることと、日本でフランス料理に和の食材をつかうことは、本質的には等価じゃないと思うんですよ。食を「文化」としてとらえたときには、意味合いがまったっくちがうんじゃないか。いまみたいに輸入食材もふんだんじゃなく、国内での西洋野菜の生産もほとんどなかったころには「代用」があたりまえだったわけで、それがヘンな意味で習慣化しちゃっている現実があるでしょう? そういう状態で和の野菜をつかっても、皿の上でのロジックとして「ダイヨウ」がどこかにあったりするんじゃない?

日本でフランス料理、イタリア料理をなのる以上は、まずはフランス、イタリアの食材を十全に使いこなしてほしいじゃないですか。そのうえで和の食材なり新野菜なりをとり入れていただきたい。じゃないと、東京フレンチ、東京イタリアンなどとうそぶいてみても、「なんちゃって」の域をでないんじゃないでしょうかね?

そりゃ、ブレット(ビエトラ)なんかはものすごく庶民的な野菜だから、ガストロノミーの世界で修行なさった料理人さんがご存知なくたっておかしくはない。でも、中央集権的、全国一律にみえるフランス料理だって、根っこのところにあるのは郷土料理、庶民の食卓でしょう? ましてや、ビストロみたいな気取らない業態が流行りの昨今、ブレット(ビエトラ)なんかは需要が爆発したっておかしくはないと思うのに、現状ではサッパリ…。ある八百屋さんによると、フランス料理人さんのなかでブレット(ビエトラ)をご存知なのはだいたい1〜2割くらいという印象らしい。まぁ、ブレット(ビエトラ)にかんしてはアセらず気長にご提案させていただきますが。

じっさいのところ、西洋野菜だからといって、かならずしも和食との親和性がないわけじゃないのは、現代の日本の「一般野菜」の多くが、古くは中国から、近代は欧米からもたらされたものばかりということを考えてみてもよくわかるだろう。スナップエンドウなんて、いまじゃ庶民的な一般野菜だけど、そもそもUS系の"sugar snap pea"だもん。日本に導入されたのだってそんなに古いはなしじゃない。キュウリは中国大陸からもたらされたけれど、江戸時代には「下のもの」といって好まれなかったというはなしだってある。

まきもの屋は和食は個人的に大好きだが、やっぱり専門外なので、和食を意識した商品提案というのはなかなかできないのが正直なところである。こればっかりは料理人さんの創造力に期待するしかない。とはいえ、和食のほうも西洋野菜にかんして、なかなか面白くなってきそうな予感である。

« Prev item - Next item »
-------------------

Trackbacks

このエントリにトラックバックはありません
トラックバックは承認制とさせていただいております。このトラックバックURLを使ってこの記事にトラックバックを送ることができます。リンクを右クリックして「URLをコピー」してお使いください。

Comments

No comments yet. You can be the first!

Leave comment