グリークバジル、あるいはパッケージの憂鬱

Posted by: makimonoya

市場であれ産直であれ、野菜を送るときにはいろいろとむずかしい問題がある。基本はあくまでも、「できるだけよい状態で使い手にお渡しすること」。産直だと「新聞紙でくるんであればいいじゃん」とおっしゃってくださる取引先もないわけではないのだが、なかなかそういうわけにもいかない。そのあたりのことは「過剰包装?」というエントリに書いた。

いま頭を悩ませているのは、産直の花ズッキーニと、市場出荷のグリークバジルである。グリークバジルは出荷スタートになったのに、まだ悩んでいるのである。

花ズッキーニは傷みやすいから、かなり神経をつかっているんだが、取引先からいただいたフィードバックでは、あんまりうまくいっていないようである。花は萎れやすいから蒸散をふせぐために密閉する必要がある。いっぽうで、ズッキーニの花というのは、数時間で閉じてしなびてしまうのが常である。閉じてしまっては、中の雌蕊をとりのぞくにも、詰め物をするにも具合がわるい。市場流通品だと、花に直方体のスポンジを入れて強制的に閉じないようにさせている。とてもいいアイデアである。

が、まきもの屋のごとき弱小農家の産直だと、とてもじゃないがマネできないのである。そんなスポンジ、小ロットじゃ手にはいらない。だいたい、ああいうものは、業者さんにカットを依頼するわけだから、最低でも数千の単位になる。わずか数十株のズッキーニのためにそこまではできない。

密閉の件は、ひとつずつラップでくるめばいいんだが、花の薄いところが貼りついてしまうようである。まことに具合がわるい。かといって、FGにまとめてつっこむわけにもいかない。そのくせ、8本も入れたら、ズッキーニ用のダンボールがいっぱいである。ふつうのズッキーニ(花じゃないヤツ)が20本入るダンボールである。花ズッキーニは個人的に大好きというのもあって、とくに花が立派で、開花の時点で本体もそれなりのボリュームになる品種を選んだのが裏目にでた格好である。

もうひとつ、グリークバジル。上の写真の、葉がちいさい、とてもかわいらしいバジルである。見た目に反してけっこう香りがつよい。スイートバジルとはまたちがった香りとさわやかな、どちらかというとスパイシーな風味である。なにより、葉のかたちをいかしたまま皿にのせてもらえる。

とってもいい野菜(イタリアじゃバジルはaromatiche=ハーブじゃなくて「野菜」あつかいである)なんだが、やっぱりパッケージが問題なのである。畑ではきれいなかわいらしいドーム型なので、それをいかして株どりで売りたい。が、葉はちいさいくせに、そこそこのボリュームになるから大量になってしまう。ペーストでも仕込まないかぎり、レストランさんもたいていの小規模店では1株でも多いかもしれない。バジルは冷やせないからそんなに日持ちもしないのも問題である。

しかも、フルサイズだとちょうどいいパックがない。FGじゃ形がくずれてしまうのでおはなしにならない。じつに困った。いっそのことフルサイズにするのをあきらめてしまえばいいんだが…。もうちょっと考えてみるか…。

ミニ・ポワローやチポロット、ミニ・フェンネルなんかもパッケージでは随分苦労したんだが、フードパックにしろFGにしろ、ちょっと特殊なサイズになるとやっぱり小ロットでは入手できない。いちど決めたら数千、あるいは万単位で在庫を抱えなくちゃならない。このあたりがじつにむずかしいのである。ダンボールもおなじ。こういう事情のうえに、さらに販売戦略がからんでくるから厄介である。

まきもの屋の仕事はあくまでも、おいしいホンモノの西洋野菜を栽培してレストランさんに使っていただくことである。心情としては食文化という側面をもっとも大切にしたいのだが、レストランさんがお使いくださって料理がグレードアップし、集客力アップにつながっていってくれないとビジネスにならない。そのために、調理法もふくめた情報提供、ご提案をすると同時に、こんなふうにパッケージにも腐心しているわけである。

これが本末転倒しちゃうと、いったい何の仕事をしているんだかわからなくなってくるので気をつけなくてはならない。「オレのやりたかった仕事ってこんなんじゃなかったのに、いったい何をやってるんだろ」などと思うようになってはいけない。いや、じつは前職のときさんざんそう思ったんですよ。子供の頃から学校嫌いだったのに教師なんかになっちゃって、ほんとに後悔したものである。まぁ、過ぎたことなのでどうでもいいが。

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