これはプンタレッレではない
2009/11/14追記;いずこも考えることはおなじようで、プンタとして栽培したものの外葉を「プンタリーフ」の商品名で販売しているそうです。まきもの屋の商品名は「チコリア・カタローニャ」ですが、ようするにほぼおんなじものですね。
タイトルはルネ・マグリットの"Ceci n'est pas une pipe"(これはパイプではない)のもじり。それはともかく、夏にプンタレッレなんてあり得ないのである。プンタは冬の野菜。冬の厳しい倉渕だと晩秋が旬。
どうも誤解されることが多い、かわいそうな野菜である。チコリエ(チコリ類)にはいろんな種類があって、見た目もさまざま。いわゆる「チコリ」や「トレヴィス」もチコリエの一種。そんななかに、チコリア・カタローニャ"cicoria catalogna"という、水菜のような巨大な蒲公英のような葉のかたちをした種類がある。チコリア・カタローニャというのは葉を食べる野菜なわけだが、これが晩秋くらいになると花芽をつける。ある程度の寒さのなか、花芽がじっくりと成長するから、ホワイトアスパラガスにもちょっと似た見ための茎がボコボコっと芯にできてくる。これを「プンタレッレ」(puntarelle)という。
ローマの冬の味として知られるプンタレッレは、花芽というか茎のやわらかいところを裂くようにして水にさらし、くるくるっと丸まったのをアンチョヴィベースのサルサでいただく。
チコリア・カタローニャにも品種がいくつかあって、プンタレッレにするのはとくに立派な花芽をつける品種である。ほとんどは葉がギザギザ(frastagliata)なんだが、ちょうど水菜にたいする壬生菜のように、葉に刻みのないものもあって、"foglia stretta"という。
それはともかく、プンタレッレ用の品種であっても、晩春、夏、初秋は、プンタレッレにはならない。立派な花芽をつける前に茎が伸びてしまうからである。こういうのは「プンタレッレ」とは呼ばない。たとえちょびっと花芽があったとしても、あくまでも「チコリア・カタローニャ」なのである。だから、「プンタレッレ」と表示するのはよろしくない。
そもそも、花芽を食べるプンタレッレはローマの地方野菜である。イタリア全国レヴェルでいったら、もっぱら葉を食用とするチコリア・カタローニャのほうが一般的で、なにしろ周年栽培されているくらいである。
花芽がでていないか、あるいはごく小さい花芽しかないチコリア・カタローニャは、芯のところの柔らかい葉は生でもおいしいが、基本的には加熱調理に適している。プンタレッレと誤解してサラダ野菜として扱うのは不適切である。下茹でしたものをアンチョヴィ味などで炒めて、そのままコントルノ(つけあわせ)にするか、ピツェッテの具にするといい。
というわけで、今日のポイント
- プンタレッレはチコリア・カタローニャの花芽(とくに立派なもの)のこと
- チコリア・カタローニャは本来、葉を食べる野菜で、加熱調理が基本
- プンタレッレはローマの地方野菜。チコリア・カタローニャはイタリア全国区
- プンタレッレは晩秋から初春までが旬、というかその時季でないとプンタレッレにならない。
- チコリア・カタローニャはイタリアでは周年供給されているとってもポピュラーな野菜